仮にそうだとしても、丹那にできるわけがない。
あんな状態の丹那を見てしまったら、もう二度と丹那をこの家に入れたくはないと、誰しもが思うだろう。
それほど、丹那は辛い体験をした。
見れば分かる。文字通り、見れば。
「う………」
うなされているように、丹那が声をあげる。
「丹那………丹那」
起こさなきゃ。
丹那に、色々と確かめなければ。
優しく、茉樹は丹那を揺さぶった。
ゆっくりと丹那は目を開ける。
血の涙のあとや嘔吐のあとはなかった。
「丹那」
「丹那、気分は」
聞いてバカだな、と思う。気分など、最悪に決まっているだろう。
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