「燐、斗織。見て、柱がなくなってる」
先ほどまで柱があったと思われる場所を、指して茉樹は言った。
「なっ………」
「さっきまで………あった、んだよね?」
茉樹はコクリと頷く。
「それに、家に灯りが………」
そこまで言って気がついた。
黒い男が、殺人者がいない。
そろそろ殺人者が来て、家のチャイムを押して。丹那が出るころだと思っていた。
だが一向に現れる気配はない。
「どういうこと………?」
「もしかして、俺らが家に入んないと、現れない………とか」
恐る恐る、冗談のつもりで燐は言う。
だが、それ以外に考えられなかった。
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