「茉樹っお前1人じゃ――――」
足音に気がついたのか、男はゆっくりと茉樹と燐の方を向く。
黒い瞳と目が合った。
その後ろに倒れていたのは。
「いっ………」
血まみれで、顔も分からないほど傷つけられていた、丹那だった。
「いやあああああああああああああああ」
気がついたら、家の外だった。
浅い呼吸を繰り返す。
「なっ、に………」
酸素で肺を満たしていく。
となりには燐がいた。
「り………」
俯いて、何も話そうとしない。
その少し離れたところに、斗織、そして横たわった丹那がいた。
「燐………燐」
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