「丹那っ丹那!」
目は虚ろで、何も瞳には映していない。
キレイな緑色の瞳からは、血が流れていた。
「う゛っ」
丹那は燐を突き飛ばす。
ここの重力のおかげか、燐は飛ばされ壁にぶつかるも、そこまで衝撃は強くなかったようだ。
「おっぅ、え゛………」
「にっ………」
そのまま、胃の中のものを吐き出した。
だが胃の中には何もなかったのだろうか、丹那はありえない量の血を吐いて咳き込む。
「にいっ………」
茉樹が口元を抑えた瞬間だった。
「きゃああああああああああああああああ」
奥から、悲鳴が聞こえてきた。
「まっさか………」
[ 30/122 ][*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]