間違いない。あれは、丹那だ。
今うしろにいる丹那と、全く容姿も声も変わらない、瓜二つの丹那。
色素が薄い金髪をなびかせて、丹那は笑顔で玄関を開けた。
そこに立っていたのは、男だった。
とても背の高く、黒くて暗い格好をしている男。
「………どちら様ですか?」
少し怖がりながら、でも態度に出してしまえば失礼と思ったのだろう。丹那はあまり様子を変えずに問う。
「お父さんと、お母さんはどちらに?」
「今リビングにいますが………」
「大切な話があるんだ。あがらせてもらっても、いいかな」
有無を言わさない、低い声。
声が聞こえた瞬間、後ろにいた丹那の様子が変わった。
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