燐は慌てて丹那の口を塞ぐ。
涙目で暴れだす丹那を、何とか抑えた。
「丹那ーちょっと出てちょうだい」
「はーい」
聞こえてきた、丹那と全く同じ声。
まさか………
茉樹は丹那の方を見る。
流している涙は、どこか赤く見えた。
「茉樹………もしかして、さっきの女の人………」
「丹那の、母親かもしれない………」
誰もが思ったこと。
丹那の、母親。
丹那と一緒に、殺された――――
バタバタと廊下を走る音が聞こえた。
その足音の主は茉樹たちがいる部屋の前を通りすぎ、玄関へと向かう。
ガチャ
ゆっくりと、玄関が開く音がした。
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