丹那に、嫉妬している。



別に燐のことが好きなわけではない。けれど、取られるのは嫌なのだ。



(………忘れよう)



何も、知らなかったことにしよう。



そうしていれば、楽になる。



門を開けて、玄関へと歩く。



鍵は、あいていた。



重い扉を開く。



………中からは、とてもいい匂いがした。



「何、これ………」



「料理?食事中?」



クリームシチューのような匂い。



どこか懐かしい感じがするのは、母親の味、というものだからかもしれない。



だが丹那は違った。



口元を抑え、よろつく。



「丹那っどうした?」



何もしゃべれないようで、額には汗がにじんている。




[ 25/122 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -