「ここで………丹那は、殺されたんだ」
ゆっくりと、家を指す。リビングであろうその場所には、灯りがともっているだけだった。
「入ってみよう」
斗織が立ち上がる。
「入るって………」
「家に。何か、手がかりが………少なくとも、丹那が今ここにいる手がかりはつかめるかもしれない」
確かに、丹那がここにいる理由………死んだという、理由を調べれば。何か分かるかもしれない。
だが丹那は?
丹那にとっては、ここは幸せな思い出が詰まった場所であるとともに、一晩で悪夢になった場所。
そんな場所に、丹那を連れて行って、大丈夫なのだろうか。
現に今、丹那は玄関前だけでこんな風になっているというのに。
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