燐はイラつきながらも、茉樹の方を向く。
茉樹は一点を見つめたまま、動かなかった。
不信感を持ちながらも、燐は茉樹の見ている方を見た。
そこにあったのは、表札。
青山、と書かれていた。
「………別に、珍しい名字じゃ、ねぇ、だろ………」
そう言いながらも、燐は丹那のことを見る。
ここで、丹那が座り込んでいることには、関係はあるのだろうか。
あるに決まっている。燐も、心の底ではそう思っていた。
「丹那………?」
丹那の前に座り込み、茉樹は目線を合わせる。
「どうしたの?この家は………丹那の家?」
怯えた目で、丹那はゆっくりとうなずく。
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