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こころあたり



 道中、マゴイチからツバサのくにのブショーリーダーであるマサムネについて色々聞いた。じきに大きくなる奴だ、とか、見どころがなかなかある奴だ、とか、マゴイチがマサムネを評価しているだろうことはナマエにもなんとなく理解していた。だからこそ、城の前で腕を組み、「遅い!!」と言ってのけた少年に、ナマエは首を傾げてみせたのだけど。

「リフトを止めてやろうかと思ったわ!」
「おいおい、それは辞めてくれ……イクサを挑むわけじゃないんだ」
そうやれやれと肩をすくめてみせたマゴイチはナマエを見る。
「ナマエ、コイツがマサムネだ。マサムネ、こっちがナマエ。様子を見るに、話は聞いてたんだろ?」
「ああ、モトナリ公直々にな」

 そう告げたマサムネに、マゴイチとナマエは顔を見合わせた。その様子を見てマサムネは鼻を鳴らす。ついて来い、と城に入るマサムネに二人は後に続いた。

 謁見室、ではなく、マサムネの私室に通される。窓の外には青空が広がり、マサムネのウォーグルがもう片方の窓から顔をのぞかせている。上座に座ったマサムネに、ナマエは緊張したように下座に座った。マゴイチは壁際に楽に座ったが。

「で、モトナリ公から話は聞いてたって?」
「書状でな、遠く離れたアオバから書状が届き、何ごとかと思ったわ」

 そこで話を区切り、マサムネはナマエを見た。

「ナマエ、と、言ったな。海の中でとりを見た、というのは誠か?」

 その言葉にナマエは頷く。

「マサムネ、何か知ってんのか?」
「海の中にいるひこうポケモンはそう多くはない。まぁ、このランセにおいて、ではある。大きさは?」
「うん、と、おおきいよ」
「ウォーグルほどか?」
「もっと!ラプラスよりもおおきかったよ」

 ナマエの言葉に、マサムネは少し考える。

「ラプラスよりもデカイってことは結構デカイな」

 マゴイチの言葉に、ナマエは刻々と頷く。ピカチュウが「ぴか?」と首を傾げ、ナックラーがそれに答えるように鳴いた。不意にずっと考え込んでいたマサムネがナマエを見た。

「……ソレは、謳うように鳴くか?」
「歌?ああ、確か、ナマエがよく笛で吹いてたな、海の中で聞いたって」

 マゴイチの言葉に、ナマエが頷いた。マサムネは少し目を伏せて、そして口を開いた。

「ひとつ、心当たりはある」


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