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てんくうのしろ


 空へと続く階段を見上げて、側にいたピカチュウはともかく、ナックラーはすこし絶望したように見上げた。階段の先は気が遠くなるぐらい先で、途中からは雲の先にあるように見える。ナマエがその階段を一歩踏み出そうとした時、マゴイチがそれを止めた。

「ナマエ、この階段を馬鹿正直に登る必要は実はないんだよ。こっちだ」

 そうて招いたマゴイチに、ナマエ達は首を傾げてそれに続いた。
 ゲンムのくにでユキムラやカネツグ、ケンシンやシンゲン、アヤゴゼンやクノイチと別れ、ナマエとマゴイチはツバサに急いだ。エスパータイプから徐々にひこうタイプに変わってきたポケモン達に、ナマエとナックラー、ピカチュウはポケモン達を見上げるばかりだ。野生のポケモンも何かを察知しているのか、クルクルと空を旋回するばかりであまり地上へは降りてこない。ナマエはすこし残念そうにしながら、マゴイチはその様子に笑いながら、この国にやってきたわけである。
 マゴイチが手招いた場所には、リフトがある。ダイチのくにのイクサ場にもあるが、あれはポケモン達が乗るものであるが、ここは違うらしい。マゴイチに促され、ナマエがピカチュウとナックラーと乗ると、マゴイチとマスキッパが乗り込む。マゴイチが何か操作すると、リフトは空へと向かって浮かび出した。グングンと空に向かうリフトの近くをひこうタイプのポケモンが飛び回る。ナマエとナックラー、ピカチュウが下を見下ろせば、ナックラーは目を輝かせて、ピカチュウはブルリと体を震わせてナマエの肩に這い上がった。

「わぁ、」

 地上がグングンと遠くなり、見える世界が広くなる。やがて視界が真白になって、リフトは雲の上にやってきた。ナックラーが口をパクパクして、雲を食べようと必死なのを見てマゴイチが笑う。

「雲は食べれないぞ。ほら、もうすぐだ」

 マゴイチがそう言って上を見上げる。空にはお城が見える。まるで、三日月のような飾りを持った。
 チン、という鐘の音とともに、リフトが止まる。マゴイチが先に降りると、ナマエをエスコートした。

「ようこそ、天空の国・ツバサへ。お嬢さん?」

 そんな言葉にくすぐったそうに笑った。


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