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しょうぶ



 シンゲンの治めるダイチの国と、ケンシンというブショーリーダーが治めるこのゲンムの国はライバル関係にある。偶に小競り合いをしてはお互いに勝負をつけようとしてるが、引き分けが続いているのが現状だ。恐らくは、ユキムラが持っている書状はその『小競り合い』のきっかけ、だろう。
 謁見室へと着くと、そこにはエルレイドとともに白い大きな人がいた。

「ケンシン」

 アヤゴゼンの言葉に、その白い大きな人が振り返る。ナマエはそれを見て肩をはねさせてマゴイチの後ろへと隠れた。

「ケンシン公、お久しぶりです。お館様より書状を預かってきました」
「恩に着る」

 そう告げて書状をうけとったケンシンは、ちらりとナマエをみる。

「ああ、ケンシン公、こちらはかの『噂の子』で・・・・・・」
「話は聞いている」
「・・・・・・誰から?」
「噂とは、どこからともなく入り込む物なり。恐らくは他の耳にもはいっていることだろう」

 書状を読むと、ケンシンはユキムラを見る。

「小さきものはいつくしまなければならぬ」
「はぁ、」

 ケンシンの言葉に、ユキムラは困ったような返答をした。

「しかし、これも一興なり。この条件、受け入れよう」
「あぁ、ユキムラ、書状にはなんて書いてあったんだ?」
「さぁ、私は何も知らされてません」

 嫌な予感しかしない、と、マゴイチは顔をしかめた。ユキムラはその様子を見て、周りを見る。そして、理解した。恐らくは――――。

「まさか」
「ここにいるのは互いに三人。小さき者がコブシにて戦ったという話も聞いている」
「あらまぁ、そうだったのですね」
「ほぉ、そういうことだったのか」
「待てよ、俺たちはダイチの国のブショーじゃない」
「ダイチのギャロップに乗ってきたのが運の尽きだったな、マゴイチ」
 なに、恐らくはお遊びに似たそれだ。

 そう告げたカネツグのそばにユンゲラーがテレポートで現れる。シンゲンのそばにいたエルレイドが構える。どこからかともなく駆けてきたのはアヤゴゼンのクマシュンだ。
 ナマエはそれを見て目をパチパチと瞬いた。ぐるりと周りを見れば、マスキッパがナマエの前に現れた。ポカブがやる気満々という風に鳴き声を上げる。ユキムラが申し訳なさそうに眉尻を下げた。「ナマエ殿、巻き込んでしまいましたね」と。
 そこで、ナマエはナックラーとピカチュウを見る。二匹はうなずいて、ナマエの手から地面に降りた。
 恐らくは、ナマエのナックラーの攻撃はユキムラのポカブに対しても相性が悪い。ナマエだけがポケモンの交換を許されてはいるが、そこも勝負の駆け引きになるだろう。そして、恐らくは――――ナックラーと相性が悪いのは。

「ナックラー、クマシュンにちかづいちゃだめだよ。だから、おるすばんね」

 そうナマエが小さくナックラーに告げた。やる気満々だったナックラーは少しうなだれる。それを見て、ナマエも眉尻を下げて「ごめんね」と謝った。

「ナマエ、決まったか?」
「ピカチュウとがんばります」

 ナマエの言葉に、ピカチュウが一鳴きしてナマエの前に飛び出した。

「む。オレンジのポケモンは出さないのか」

 カネツグの言葉に、ナマエはうなずく。

「そうか、それならば、先にピカチュウと戦うだけだな。行こう! ユンゲラー!」
「ここまで来ちゃ引き下がれないな・・・・・・ま、コレは貸しにしとくぜ。行くぞ、マスキッパ」
「ふふふ、相性のことは理解しているはずでしょう? 行きますよ、クマシュン」
「それはこちらの台詞です、アヤ殿。お館様が書状に何と書いたのか気になりはしますが・・・・・・ここで負けるわけには行かない。我らの力、ここにしめさん! 行くぞ、ポカブ!」
「――――・・・・・・我が武勇、イクサ場でしめさん」
 そう並んだポケモン達に、その様子を見ていた城の人は息をのんだ。


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