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なかまがふえた



「御館様、ただいま帰りました」
「シンゲン公、ナマエを返して貰いに来たぜ」
「ピカピ!!」

 襖を開けるなり三者三様の言葉を放った彼らに、シンゲンは笑う。ユキムラの肩から飛び降りたピカチュウはナマエに一目散に飛びかかりナマエもナマエでピカチュウ、と名を呼んで抱きしめる。ちなみに、ナックラーはナマエの横にいる。ピカチュウを抱きしめた後、ナマエは申し訳なさそうな顔でマゴイチを見た。

「マゴイチさん、」
「大丈夫だ、ナマエが悪いわけじゃない」

 ぽんぽん、とマゴイチがナマエの頭を優しく叩く。

「ナマエから聞いて、もしやと思ったけど、本当におことだったとは」
「モトナリ公に雇われたし、ツバサじゃ顔パスだしな」
「おことのばあい、ほとんどの国で、じゃの」
「そうかもな」

 シンゲンの言葉に答えると、マゴイチは床に広がる絵巻物を見た。そこにはランセ地方の神話などが書かれている。

「おことがくるまで暇だったから、勉強してたのよ、」
「この地方の成り立ちを?」
「まぁ、それもふくめ、かね。ナマエからはナマエの住む島の話を聞いたしね」
中々有意義な時間だった。

 そう答えるシンゲンにマゴイチは呆れたような表情を見せた。

「で、ここからどうやってツバサまで行くの?飛行船、かそうか?」
「飛行船なんか出したら、宣戦布告に思われるから徒歩できてんだ。ありがたいが遠慮するぜ」
「ふむ」
「このまま、ゲンムの国に入ってツバサに入るつもりだ」
「ゲンムに?」

 聞き返したシンゲンに、マゴイチは眉を顰める。厄介ごとになる気がする。さっさと退散するか、とナマエに声をかけようとするが、シンゲンの方が一足早かった。

「丁度いい。ゲンムに届けて欲しい書状があるんじゃよ」
「嫌だ。厄介なことになるだろ、それ」
「厄介なことじゃないよ、大丈夫、ユキムラに渡してもらうから」
「え、私にですか?」
「じゃあ、別々にでもいいじゃねぇか」
「駄目」
「なんでだよ」
「届けてくれるなら、ちゃんと駄賃を出すし、ギャロップを貸すよ」

 そな一言に、マゴイチが息を詰まらせた。ギャロップがいれば、移動ははやくなるだろう。相棒のマスキッパが嫌がるが。

「そうとなれば、今日は城に泊まって行くといいよ」
「おい、俺はまだ返事をだな、」
「ナマエはいいよね?」

 いきなり話を振られたナマエは何が何だかわからず頷いてしまう。ピカチュウとナックラーと戯れていたらしい。

「ほら、ナマエはいいって」
「それは勢いで頷いただけだ」
「旦那、諦めた方がイイっすよ。こうなっちゃ、やるしかないですって」
「そもそもくのいちの仕事だろ、これ」
「私は別件があるんですー」

 そう言って消えたくのいちに、マゴイチは大きくため息をついた。ナマエはユキムラと顔を合わせる。ユキムラは苦笑いをした。
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