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つれをみつけた



 一方その頃、ピカチュウを連れたユキムラはとある人物を探していた。ナマエの連れである、マゴイチである。ちなみに、探すことはピカチュウの了承済みで、ナマエのピカチュウはユキムラの肩に乗って耳をピコピコと動かしていた。
 さて、どこにいるのか。分かれ道に差し掛かったユキムラがため息をつけば、ピカチュウがユキムラの髪を引っ張る。ユキムラがピカチュウの方を見ると、ピカチュウは「ピカピイ」と鳴いて小さな手で指差した。ユキムラがそちらを注意深く見れば、人混みの中にマゴイチがいた。1人でいることをみれば、用事は済んだらしい。とりあえず、ユキムラはマゴイチに近づき声をかけた。

「マゴイチ殿」
「あ?って、ユキムラじゃねーか。久しぶり、だ、な?」

 マゴイチはユキムラの肩の上に乗るピカチュウに目をやった。「ぴか、」と片手を上げるピカチュウは見覚えがある。

「ユキムラ、お前、ピカチュウなんて持ってたか?ヒヒダルマはどうした?」
「ヒヒダルマは城です。これはナマエ殿のピカチュウで……」

 ユキムラの言葉にマゴイチは頭を抱えた。やっぱりか。通りで見覚えがあるピカチュウだと思った。

「ということは、ナマエはこの国の城にいるわけだな?」
「ええ、なので、マゴイチ殿とすれ違うかもしれないと……」
「ありがとな、ユキムラ。……だから、待ち合わせ場所に行ってもいなかったわけだ」

 マゴイチが頭をかくのをみて、ユキムラが首を傾げる。

「いや、ダイチの国は治安がいいからたまには自由行動と思ってな。ナマエのことだから、茶屋から動いてないんじゃないかと思って見に行けばいないし、探してもいないから、厄介なことに巻き込まれたのかと……」

 まだマシな厄介ごとで助かった、はマゴイチの内心だ。シンゲンなら、ナマエを悪いようにはしないからだ。きっとどこからか噂を聞きつけて興味を持ったのだろうと推測できる。
 ユキムラとマゴイチが、自然とダイチの国の城へ足を進めはじめた。

「なぜ、ナマエ殿はマゴイチ殿と旅を?」
「あぁ、ナマエは他の地方から流れ着いた奴でな、そのきっかけとなったポケモンを探してる。そのヒントがツバサにあるかもしれないっつーことで、旅をしてんだ。俺はその護衛」
「成る程、でも、何故ツバサの国にヒントがあると?」
「ナマエが海の中で、翼を持つ巨大なポケモンを見たらしい」
「海の中に、飛行ポケモンが?」
「ああ。ツバサは飛行タイプが多いし、マサムネも詳しいだろ?だから、ツバサに行けば何かわかるんじゃないかって考えたらしい」
「なるほど」

 ユキムラはもう一度頷いた。

「いい手がかりが見つかるといいですね」
「ホントにな」
「ぴっぴかちゅ!」

 ピカチュウの返答のようなそれに、ユキムラは目を瞬かせる。マゴイチは慣れているのか、ピカチュウもそう思うか、などと言って頭をわしわしと撫でていた。

「しかし、まぁ、俺よりもナマエの護衛らしいお前がナマエから離れるなんて珍しいな」
「ああ、それは、くのいちがナマエ殿を連れて行ってしまったので……」
「……置いていかれたのか」

 マゴイチの言葉にピカチュウは耳を下げ落ち込んだようなそぶりを見せる。マゴイチはそれを見て笑った。
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