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どんてん、のち。かみなり



 月日がすこし流れた。あの後、あのピカチュウとは出会えなかったものの、様々なポケモン――最初は草タイプばかりだったが、段々電気タイプばかりになっている――に出会った。ナマエがリンクすることはなかったが。

 空は薄暗い雲に包まれている。ゴロゴロとなる雷雲は、シデンの国に近づいてきた証だろう。ナマエは空を見てから不安そうにマゴイチを見る。雨が降ってこないかとビビっているのか、雷にビビっているのか。 マゴイチはそれを面白そうに見る。

「雷が怖いのか?」

 そう問えば、びくりと動く体。どうやら、図星らしい。マゴイチはその様子に笑った。ナマエは不機嫌そうに頬を膨らませる。マゴイチはその様子に頭を笑いながら数回撫でる。

「もうすぐシデンのくに――誰だ?」

 ガサリガサリと揺れる茂み。マゴイチはナマエを一歩下がらせる。

「誰かと思いきや、マゴイチか。雑賀衆がこんな所になんのようかな?」
「なんだ、ムネシゲか」
「なんだとはひどいな。……その子は?」

 マゴイチと話す男性――茶色の髪を揺らす彼は、ムネシゲというらしい。ムネシゲはマゴイチの背中に隠れていたナマエに目を向けた。

「ちょっとした訳ありでな。アオバからツバサまで旅をしてるんだよ」
「みたこともないポケモンを連れているな、アオバのブショーなのか?」

 ムネシゲの問いかけに、ナマエはマゴイチの背から顔を出すとフルフルと首を横に振る。ナマエは確かにポケモンをつれているが、ブショーではない。かと言って、トレーナーではないのだが。

「なら、ツバサの国の?」
「いや、確かにポケモンを連れてるが、ブショーじゃない。アオバで世話になってるだけだ」
な?

 マゴイチの言葉にナマエは今度は頷く。ナックラーも何故か頷いた。ムネシゲはそれをみて、微笑む。

「いいブショーになりそうだ。どうかな?シデンでブショーをしてみないか?」
「ムネシゲ、スカウトするのはナシだ、ナシ」
「何故だ?アオバやツバサのブショーではないんだろう?」
「あぁ」
「まさか、雑賀に?」
「それも違う。ナマエはアオバで世話になってるだけだっていったろ?」
「なら――」
「あぁ、もう、わかれよ。ナマエはな、他の地方から流れ着いたんだよ」

 やり取りが鬱陶しくなったのか、投げやりなマゴイチの言葉に、ムネシゲは目を瞬かせた。ナマエは何も言わないし、気にしていないみたいだが、マゴイチは言ってしまったことを後悔した。

「その話、詳しく聞かせてくれないか?」
「いや、ことわ――」
「立ち話もなんだろう、シデンの城に招待しよう」
「お前、ブショーリーダーじゃねーだろ」
「ギンチヨなら大丈夫だ」
さぁ、ついてこい。

 先へと進むムネシゲに、ナマエとマゴイチは顔を見合わせる。マゴイチはため息をつくと、「今日は野宿せずにすみそうだな」と力なく笑った。

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