×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -



「ゴースト?」
「ああ、」

 ツェッドは渡された資料を見る。都市伝説を調べているとは言ったが、その正体がゴーストであるらしい。ゴースト。幽霊。なんでも起きるHLだ。いてもおかしくはない。

「たしか、子供しか会えないんですよね?」
「ああ、で、だ。新しい証言が出た」
「新しい証言?」
「証言といえるかわからないが。ゴーストに会った子供は一枚の絵を指差してそこにいたと彼女に会ったと言うんだ」
「絵?」
「次のページにある」

 スティーブンの言葉に、周りはページをめくった。そこには綺麗な庭に立つ一人の女性が描かれている。ツェッドはそれを見て目を見開いた。

「製作者はフレンツ・K・タリーヌという無名にも近い画家だ。1943年に徴兵され、戦争に参加し亡くなっている。これはその前にかきあげられた絵だ」

 スティーブンの説明に、ツェッドはその絵をじっと見る。その絵はあのリアの庭だ。間違いない。絵の中にいるのもリアにそっくりな女性である。隣にいたレオナルドが感心したように口を開いた。

「へぇ、綺麗な絵っすね。タイトルは?」
「『パイ・ヴィルギニスのゴースト』」
「パイ?」
「パイ・ヴィルギニスですよ。星の名前です。乙女座の。で、スティーブンさん、えっと、ゴーストは悪いもの、なんですか?」
「わからない。何者かもわからないし、善悪は付けようがない。だが、利用しようとする輩は増えてきている」
「利用される前に保護ということですか?」
「ああ、そういうところかな」

 スティーブンの言葉に、ツェッドは絵画を見た。幸いにも近くにあるミュージアムに展示されているようである。

「ツェッドさん?」
「いえ、この作品を見てみたいとおもっただけですよ」
「まぁ、探す方法は各自に任せよう。相手はもしかしたら、ということがあるかもしれない。気をつけてくれ」

 そう言ったスティーブンに、ツェッドは少し困惑したのは仕方がないだろう。

パイ・ヴィルギニスのゴースト


42/63
top