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 ――路地裏を進むとね、ひっそりとした古い家があるんだって。そこで、ドアを三回ノックするの。すると、綺麗な女の人が出てくるんだ。美味しいお菓子に、美味しい紅茶を出してくれるその人に未来のことを聞くと、未来を教えてくれるんだよ。ただ、一度だけ。真実か、未来を。

 HLにそんな都市伝説が流行り始めたのは最近のことである。子供を中心に流行っているその噂は子供の興味を引くには容易く――そして、一部の大人を釣るにはもってこいの噂である。
 調査書に上がったそれを見て、スティーブンはチェインを見た。

「詳細は?」
「なにも。私たちも探してるんですが……」
「たかだか都市伝説でしょ?」

 そういったザップに、スティーブンは肩をすくめた。

「ここはHLだぞ。なにがあってもおかしくない。都市伝説が伝説じゃない可能性もある」
「危険なんです?」
「利用のされ方の問題だ」

 レオナルドの質問に答えたスティーブンはため息をついてコーヒーを口に入れる。

「本当にしろ、嘘にしろ、悪用する輩が、いなければいいが」



 ――同時刻。
 ツェッドが大道芸の片付けをしていると、一人の女性が大道芸で使った紙とコインを持ってきた。はい、と渡されたそれに、ありがとうございます、とツェッドはお礼を言う。なんというか、周りに馴染まない人だ。上品で、誠実そうで、優しさを滲ました目をしている。いい意味でも悪い意味でも目立つ。何処かのお嬢様ならば、周りにボディーガードがいてもおかしくないが周りを見渡しても見当たらない。

「貴方は魔法使い?」
「いえ、そういうわけでは」
「じゃあ、風や他の力が操れるのか」

 ふむ、と納得したような女性に中々鋭いな、とツェッドは思う。なにも返さないツェッドに、女性はここにはいろんな人がいるから魔法使いがいてもおかしくなさそうだからな、と苦笑いをする。

「よくわかりましたね、僕が風を操ってるって」
「勘のようなものだよ。君はいつもここで?」
「毎日ではありませんが」
「そうか……また来よう。きみの名前は?」
「ツェッド。ツェッド・オブライエンです」
「Mr.ツェッドか、いい名前だ」
「貴方は?」
「私か?」

 ツェッドの言葉に、女性は目を瞬く。ええ、と頷いたツェッドに、女性は少しはにかんで口を開いた。

「リア。私はリア・ケノービだ」


ロータスピンクをまとった彼女


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