そこに、明確な答えなどないのだ。
窓から見える戦闘を眺めてそう思う。
私は此処からいなくなる。それは死という形であれ、他の世界へ渡るという形であれ。私はいなくなる。共に過ごす時間が長ければ長いほど、心の傷が癒えるのも遅くなる。ああ、恐らくそれが理由だと通じるのかもしれない。
でも、タチが悪いそれだ。マスターは、私たちを前に進ませるために死を選んだ。しかし、私は、意義などない。
命が失われる感覚に、眉をひそめれば、隣にいたニアが私を見た。
「リアさん、どうかしましたか?」
「いや、大丈夫だ」
こちらへの攻撃が止み、空の艦隊が撃ち落とされていく。
種族が違えば、相入れないのだろうか。二つが手をつなぐ未来があれば、そこに幸せはあるんじゃないだろうか。
「あらまぁ、」
ニアの声にそちらを見る。落ちたと思った敵の機体がまだ生きていたらしい。騒ぐ艦内に、敵の城が回転していることに更に悲鳴が上がった。敵の機体が動くたびに揺れる艦内に、ダリーを抱き上げ、ミギーと手をつなぐ。ニアを連れて安全であろう場所に行き、そこから出るなと告げ、攻撃を跳ね返す魔法をかけた。一応この艦にも魔法をかけておく。
しかし、間に合わなかったらしい。隣に空いた穴。そこから突っ込まれた手にぐっと掴まれて外に引きづり出された。人質、というわけだ。こちらに向いたグレンラガンに、フォースを使いこちらは大丈夫だから他のことに集中しろ、と告げる。
腰につけていたライトセーバーの位置をなんとかずらし起動させ、相手の機体の一部を損傷させて手から脱出をする。そのまま敵の機体を登り、上に着く。ライトセーバーを刺してソレの出力を上げた。理論上は私のフォースに反応しているわけだから、出力を上げれるはずだ。そして引き抜けば結構な損傷を与えたらしい。飛んできた爆撃をフォースで制し、そのままそらす。
「キサマァ」
「なんだ、まだ話せたのか」
「これでもくらえ!!」
またきた無数の爆撃に、フォースでまた制するが、ズキリ、と体が痛む。捕まった時に何処かを負傷したらしい。どうしたものか、と考える。そのまま横にそらしても私の方へ飛んでくるソレ。
しかたあるまい、と、敵の機体によじ登る。そしてライトセーバーをまた刺した。おい、と騒いだソレを無視し、フォースで制するのをやめた。爆撃機はこちらに突っ込んでくる。
「貴様、死ぬ気か!?」
「死ぬ、か。いや違うな。ただ消えるだけだ。どうせ、さよならのしかたがわからなかったのだし、これでいいんだよ」
そう自嘲し目を伏せる。試したことはない。しかし、師から教わったそれ。
――その瞬間、私の体は世界から消えた。
消えることは終わりではなく
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