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 ロシウの持っていた聖典と言われたそれを読み、ふふ、と笑ってしまった。落書きである。文字が読めなければ、誰もわからないだろう。なので、私も白いページに落書きを残しておく。いつか、彼が文字をスラスラと読めるようになった時、彼が助けを必要としたとき、これを見てくれればいい。書き終わると、パタン、と本を閉じて寝ているロシウの枕元に置いておく。
 そのまま廊下を進み、甲板にやってきた。懐かしいな、帝国軍と戦った時のようだ。
 ふわり、と現れた気配に、そちらを向く。

「おーおー賢者さんは早起きだこって。年か?」
「おはよう、カミナ。君が一人なのは珍しい。シモンは?」
「俺の墓参り行くって準備してる。無駄なことしやがって」
「まぁ、彼は君がそばにいることを知らないからな。しかたあるまい」

 そう告げて空を見上げる。夜明けが近い。

「お前、この戦いが終わったらどうするんだ?」
「此処から去るつもりではいる」
「シモンもロシウもキレんぞ」
「だろうな。だが、戦いが終わればやることが多い。そちらに振り回されて、時機に私を探さなくなる」
「……?なんでそばにいてやらねーんだ」

 カミナの言葉に、肩を竦める。

「神様がいるならソレの気まぐれと言ったところか」

 私の返答に、カミナが顔をしかめた。



終わりの旅路


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