破壊音が聞こえて、大学の授業をほっぽり出して野次馬根性丸出しでその場所へ行けば、ヒーローと言われる彼らと、彼らを苦しめるヴィランズーーといっても僕の知るそれではないけれどーーがいた。苦しめているヴィランズをよくよく見れば、何処かで見たような姿だ。黒いのローブを被ったその人は、ライトセーバーと呼ばれるそれを振るっている。
ライトセーバー?この世界で使えるのは僕だけかと思っていれば、ヴィランズは寄っていた子供をフォースを使って締め付けた。
「鬱陶しい」
たったのその一言。その一言に、記憶がぐるんと呼び起こされる。同じ声だ。同じような姿だ。僕が、マスターと呼んだ彼女と。師と仰いだ彼女と。戦争で命を落とした彼女と。
「うわぁ、感動の対面じゃなく、最悪の対面じゃん」
ダークサイドに堕ちた彼女など、見たくはなかった。が、ここで見ていても小さな命が失われるだけだ。ならば、と声をかける。
「……その割には、その子にトドメを刺さないんだねぇ、マスター?」
そう言えば、ダークサイドに堕ちた彼女の目がこちらを向いた。
マスター、マスター、マスター!
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