×
第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -




「数年前、1人の教授が人を機械化するチップを生み出した」
「機械化するチップ?ロボットにでもなるのか?」
「そんなものじゃない。機械化、と言っても言動を機械化するものだ」
「えっと、つまり?」
「記憶や体を機械制御するんだよ。マスター(主人)の意向に沿うように記憶をつくりあげ、動かすそれだ。もちろん、人道的なそれじゃないから、すぐに実験は中止された。ただ、1人の試験体にチップを埋め込んだ後にな」
「試験体?」
「実験体ってことよ。まさか、それがリアなの?」
「今詳しく調べているが――。もしそうなら、俺たちが接していたリアはもういないことになる。ルートを護る姉としてインプットされた記憶なくなってるだろうな」
「!」
「言いたくないが、次に会うときは――」



 目の前にいるのは小さな子供だった。事あるごとに、元に戻って!を繰り返す子供に、意味がわからないと視線をアベンジャーズに移す。いい加減、面倒だ。知ったように私の名を呼ぶ彼らに嫌気がさす。元に戻れ、とは、何を指す?

「お願いだから、元に戻って!もうワガママ言わないから!!」
「鬱陶しい」
「ルート!!」

 フォースグリップを使い、子供の首を絞める。これくらいの子供など、すぐに殺せるのだ。アベンジャーズはリミットがきたからか元に戻った。

「やめろよ!リア!!ほんとにルートのことを忘れたのかよ!!」
「生憎、子供との関わりなんてない」
「……その割には、その子にトドメを刺さないんだねぇ、マスター?」

 いきなり現れた声に眉をひそめる。
 そこにいた男は、ライトセーバーを持っていた。なるほど、同じ◯◯らしい。

 ――◯◯とは、なんだ?

 浮かんだ違和感を払拭するように、子供を宙に放り投げる。やすやすとキャッチした彼に、目を細める。

「ダークサイドに堕ちたマスター相手に勝てる気しないなぁ。でも、ここで負けちゃ、男のなが腐るってね!」

 ライトセーバーを起動させた青年に眉をひそめる。

「何処であったか知りもしない男に、マスター呼ばわりされる気はない」


何も知らない


25/63
top