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「#幼馴染」のBL小説を読む
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 ふい、と顔を背けたルートに、視界が揺れる。頭がズキズキと痛む。頭のどこかで、『禁止ワード:大嫌い を 認識 しました』だなんてふざけた声が聞こえた。

「とんだ教育成果だな、リア。どうやったらこんなじゃじゃ馬がーーリア?」

 トニーが呆れたように言って、こちらを見て眉をひそめた。頭が痛い。バラバラと何かが崩れ落ちる感覚がする。意識が、落ちていく。ルートをなだめないと、と、なんとか近づこうとするが、体は少ししか動かない。

「リアなんて大っ嫌いだ!どっかへ行っちゃえ!!消えちゃえ!」
「キンシワード『ダイキライ』、『キエロ』 ヲ カクニン シマシタ」
「リア、変な冗談ね。ルートを宥めなくていいの?」
「モード ヲ キリカエマス。アイコトバ ヲ ニュウリョク シテ クダサイ」
「リアのバカ!バカバカ!」
「おい、ルートを黙らせろ!」
「どうしたんだ、アイアンマン」

 トニーの焦ったような声が聞こえる。ああ、白い。真っ白だ。

「リアなんて、ヴィランズにでもなっちゃったらいいんだ!」
「アイコトバ 『ヴィランズ』 ヲ カクニン シマシタ。『ヴィランズ』 モード ヘ キリカエマス」

 真っ白だった頭が妙にはっきりとした。黒く染まっていく思考に、ダークサイドへ強制的に落とされたのだと知る。助けを求めるように最後の視線を、アベンジャーズたちに向けるけれど、彼らはきょとんとしていた。トニーだけが何か知っているようで、苦虫を噛み潰したような表情だ。
あぁ、憎い。どうして、こんな子供の言うことを聞かないといけないんだ。憎い、あぁ、どうしようもなく。あの人の記憶が消えたのも、この子供の親のせい。

「ヴィランズモード、だなんて、変な冗談だよなぁ。ほら、ルート止めねぇとどこかに行っちまうぜ?」
「――どうして?」

 そう言って彼らに視線を向ければ、彼らは凍りついたように固まった。

「リアさん、だよね?」
「それ以外、何があると?」

 クスクスと笑って目を細める。眼鏡をかけた少年が固まった。どうしたんだ、と声をかけたキャップをただ無言で見つめる。しかし、聞こえてきた足音に、そちらに視線を向けた。

「おや、これはありがたいですね。私がどうにかする前にヴィランズモードに切り替わってくれたようだ」
「ヴィランズモードって、なによ、」
「お子様は知らなくていいことですよ」

 近づいてきた男をただ見る。

「コードを入力する。obey me,master リア」
「コード カクニン。命令権ガ、ルート カラ イコウシマス」

 記憶がまた、バラバラと崩れていく。私を 慕った あの子は だあれ。目の前 に いる 彼らは だあれ。
 ――プログラム ヲ イコウ シマス

「さて、私に従ってくれるな?リアよ」
「はい、マスター、」
「ならば、私はディスクを奪ってくる。アベンジャーズを足止めしろ」
「かしこまりました、マスター」

 そう告げて、目の前にいるアベンジャーズとやらを見る。困惑している彼らに、私はライトセーバーを起動させた。


組み替えられる記憶


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