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「……しまった、やりすぎたか?」

 クタクタになっている三人を見て息を吐く。キーブレードはカシャンと音を立てて消えた。マスター・エラクゥスは何故か愉快そうに笑っている。ヴェンが「何でそんなに強いんだよ」と嘆いた。青年も少女もそれに頷く。

「だが、三人ともキーブレードの扱いがうまかった。私はどうしても昔の癖がでているからな」

 癖、というよりは、ライトセーバーの扱い方で使っている。少女の相手をした時は基本のシャイ=チョーであったし、ヴェンの相手をした時はアタール、青年の相手をした時はソーレスだ。

「癖、というよりはそういう扱い方だろう?」

 マスター・エラクゥスは、流石に見抜いていたらしい。

「君の戦い方には無駄がなかった。キーブレードを持つ前から何かしていたんじゃないか?」
「よくわかりましたね。三人と私にある決定的な差は、経験でしょう。それさえ埋めてしまえば、すぐ追い抜かれる」

 肩をすくめて言えば、マスター・エラクゥスは、そうでもないと思うがな、と言った。息を整えた青年がこちらを見た。

「経験、っていうことは、何かしてたのか?」
「マスター・イェン・シッドの元へいく前はね、ジェダイと呼ばれる特殊な騎士をしていた」
「ジェダイ?」
「変わった力と変わった剣で闘う騎士だ。まぁ、仕事内容は主に外交だったが」
「ガイコウ?」
「他の国と他の国を繋ぐ為に偉い人と話をするんだよ。穏便じゃない時もあるが」

 意味のわかっていないヴェンに説明する。わかったのか、わかっていないのか、ぽかんとした表情だったが、すぐに他の疑問が浮かんだらしい。

「変わった剣ってなんだ?キーブレード?」
「いや、キーブレードのように特殊だが、鍵みたいな形ではない」
「もしかして、腰についてるそれですか?」

 少女が首を傾げる。

「あたりだ、よくわかったな」
「なんだそれ、全然剣じゃねーじゃん!」
「見かけで騙されると痛い目を見るぞ、ヴェン」

 ライトセーバーを起動させる。ぶん、と音がなって、光の刃が現れ、三人は目をパチリと瞬いた。唯一、マスター・エラクゥスだけが笑っていたけれど。


彼女の剣


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