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 赤茶のローブを風にはためかせる。小さくなった分だけ大きくなったそれも何時の日かまたピッタリとなっていた。と、いうのも、妖精の魔法によってサイズが年々変えられるし、色褪せていたそれも直るのだが。ローブの下は、ジェダイのそれに似ているがやはり妖精によって幾分か違った形になっていた。本人達曰く、姿くらいは女の子らしくしたかったらしいが、私がジェダイのそれにこだわったが為に多少妥協してくれた。多少、ね。

 今日はちなみに、マスター・イェン・シッドの手伝いというかお使いじみたそれで、他の世界に来ていたりする。はじめはミッキーと共に移動していたが、慣れればどうってことはなかった。辿り着いた場所は星空が美しい場所だった。星空をみると、あの世界を思い出すのだけれど。
 さてさて、目的のマスター・エラクゥスは何処にいるのやら。周りをぐるりと見渡せば、木の影に少年がいるのを見つける。聞くのがはやいかと、少年の方へ足を向けた。

「こんにちは」
「え、!?、あ、こんにちは?」

 金色の髪を持つその子は肩をはねさせてこちらを向いた。驚かせてしまったか、と苦笑いをする。

「私の名は、リア・ケノービ。マスター・イェン・シッドから、届け物を預かったのだが、マスター・エラクゥスはいるだろうか?」
「マスターの知り合い?」
「正しくは、マスター・エラクゥスの知り合いの弟子かな」

 そう告げれば、きょとんとした表情を浮かべた少年。わけがわかっていないのかもしれない。

「まぁ、とりあえず、マスターのところまで案内するよ」

 そう言って歩き出す少年の隣に並ぶ。つい、ジェイセンやその弟のアナキンと面影を感じてしまったのはきっと仕方が無いことだろう。

「私の名はリア。君は?」
「俺?俺の名前はヴェントス。ヴェンって呼んで」
「ヴェン、か。ヴェンも修行を?」
「まぁね」

 ヴェンが大きな扉を開き、マスター、と声を掛ける。そこには三人の人物がいた。青い髪の女の子に、ダークブラウンの髪を伸ばした青年、そして、黒い髪を結った男性だ。多分、だが、男性がマスター・エラクゥスだろう。

「ヴェン……と、誰だ?」

 青年が眉を顰める。
 私は三人に近づくとぺこりと礼をした。

「お初にお目にかかります。私の名はリア・ケノービ。マスター・イェン・シッドの命によりここに参りました」
「イェン・シッド様の? そうか」
「貴方がマスター・エラクゥスですか?」
「あぁ、私がエラクゥスだ」

 そう言った男性に、マスター・イェン・シッドから預かった書物のようなそれを渡す。彼はそれに目を通すと、「あぁ、確かに受けとった」と告げる。

「リア、と言ったな。君もキーブレードを?」
「えぇ、まぁ」

 すっと手をかざせばカシャリと音を立てて現れたそれ。

「なら、少し頼みがある。私の弟子たちと手合わせを願いたい」
「手合わせ、ですか?」
「あぁ。私の弟子はここにいる三人なんだが、手合わせとなると同じことの繰り返しになってしまう」
「なるほど」

 一度キーブレードを直し、思案する。
 別に困ることではない。ただ、ミッキーが忙しくなる可能性は否めないのだが。ちょっとくらいはいいだろう、と高を括る。こちらとしても、相手はミッキーかマスター・イェン・シッド、マスターの作り出したそれなので、違う人が相手になってもらえるならありがたい。

「その申し出、こちらとしてもありがたいです」
「そうか、なら――」
「俺がいく」
「俺がいく!!」

 同時に名乗りを上げた二人に、きょとんとする。青年とヴェンが名乗りを上げたらしい。ふと、少女を見れば、彼女は困ったような表情をしていた。

「じゃあ、君からいくか?」
「え、私ですか?」
「もしかして、分析してから行動するタイプだったのかな?」

 こちらが首を傾げれば、向こうは首を左右に振る。

「では、お願いします」
「ずるいよ!アクア!」
「君たちが歪みあって早く決めないからこうなるんだ」

 コツン、とヴェンの頭を小突く。ヴェンは額を手で覆った。


秩序を守らんとするもの


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