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  連れて来られたのは、塔の最上部である。ミッキーが扉をノックすれば、渋い声で誰かが入室を許可をした。ミッキーに続いて部屋に入ると、白い髭を伸ばした威厳のある老人が椅子に座っていた。

「おぉ、目覚めたか。流星よ」

 流星、というのは多分私をさすのだろう。ミッキーの様子をみる限り、彼がイェン・シッドらしい。

「お初にお目にかかる。私の名は、リア。リア・ケノービと申します」
「リアか。私はイェン・シッドだ」
「イェン・シッド、殿?」

 首を傾げれば、彼は緩やかに笑った。ミッキーはなにか焦ったようにしているが。

「イェン・シッド殿、ここは何処なのでしょうか? ミッキーからは狭間の世界だと聞きました」
「あぁ、まさしくここは狭間の世界だ。その様子では、何もわかっていないらしいな。リア、お主はどうやってこの地に?」
「私は――私は、宇宙の彼方で息耐えたはずなのです」
「息耐えた、?」
「あぁ、ミッキー。私は死んだはずなんだよ。押し付けがましく弟子を守ってね。だがーー目覚めたらここにいた」

 ミッキーの問いに答えた私の言葉に、イェン・シッド殿が白い髭を摩りながらこちらを見ている。

「それに、私はもっと年老いてるはずだ。だが、今の私は少女の姿だ。おかしい」
「でも、リアが生きていてよかったよ」

 何故か安堵しながら言うミッキーに、きょとん、とする。そして、ふっと笑みをこぼした。

「マスターと同じ場所へいくつもりだったんだがな」

 肩を竦めて言えば、ミッキーが驚いた。驚いたり、安堵したり、忙しいな、彼は。そう思いながらクスクスと笑う。

「リアはキーブレードを持っているのかい?」
「キーブレード? いや、私はジェダイだ。ライトセーバーは持つが、キーブレードは持たない」
「ライトセーバー?」
「見たいか? 危ないから離れた方がいい」

 腰のベルトからライトセーバーをとり、起動させる。ぶん、と音がなって青い色のそれが現れた。

「これがライトセーバーだ。ジェダイしか扱えない」
「ジェダイ……」
「ミッキーの様子を見ると、知られていないようだ」

 肩を竦めて、ライトセーバーをしまう。ジェダイがいないとなれば、前みたいな過去は考えにくい。遥か先の未来ということは考え得るが。

「ジェダイ、遥か彼方、何処かの世界、何処かの星の集まりにいると言われている」
「知っているんですか、イェン・シッド殿」
「うむ。いや、存在を見たのははじめてだ」

 そう言ってまた考え込む彼にどうしたものか、と考える。生きているなら、帰りたいところだ。また、ルーク達に怒られてしまう。

「帰れない、だろう」
「え、」

 心を読んだようなそれに、息を詰める。

「リア、お前には帰る術がない。この世界において、世界を渡る術が必要だ。そして、その渡る術は簡単に手に入らない」
「なら、どうすれば?」
「キーブレードが必要になる。リア、お前からは光を感じる」

 立ち上がったイェン・シッド殿はこちらに近づく。そして私に手をかざした。

「優しくとも、強い光を」

 す、と何かが体に入り込む気がした。慌てて体を見るが変化がない。隣にいたミッキーは嬉しそうにした。

「リア、念じてみるんだ」
「念じて?」
「そう、手に力を入れる感じ――」

 その言葉に、首を傾げる。フォースを集めるように意識をすれば、カシュン、と現れたのは機械じかけの大きな鍵で。

「やはり、素質はあったらしい」
「これは?」
「それは、キーブレード。世界と世界を繋ぐ鍵だよ」
「……キーブレード」

 詳しくみるようにくるくると回せば、鍵の後方についていた桃色のそれに、驚く。

「お守り、」
「どうしたの?リア」

 ミッキーの問いに首を左右に振る。
 ――会える、だろうか。きっと、会える。

「焦ることはない。ここで私の元でミッキーと共に鍛錬を積めばいい。そうすれば、自ずと道は開かれる」

 使いこなすにはやはり、修練が必要か。ならば、仕方が無い、と息を吐く。

「では、よろしくお願いします。マスター・イェン・シッド」

 ぺこり、と膝をつけば、ミッキーが嬉しそうに笑った。


鍵を握る者、即ち、


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