その日、その歪な場所に、流星が落ちた。何か落下したような音に、それは驚き師とあおるその人を起こす。
「イェン・シッドさま!」
「あぁ、起きておる」
のそり、と動いた老人――イェン・シッドと言われる偉大な魔法使いは落下したものがあるだろう場所に足を運んだ。そこにいたのは、一人の少女だ。意識を失っているのかぐったりとして動かない。色褪せた赤茶のローブに、見たことのない服装をしている。
イェン・シッドが少女に手をかざすと、少女は薄っすらと目を開けた。
「……――」
声にならない言葉。空気に溶け込んでいったそれ。聞きなおそうとするが、少女の意識はまた落ちてしまった。星を見上げた。
「ふぅむ……」
「イェン・シッドさま?」
「これもまた、何かの縁、か」
ふわり、とイェン・シッドの魔法で少女の体が浮き上がる。
「行くぞ、王よ」
「待ってください!イェン・シッドさまぁ!」
歩いて行くイェン・シッドに慌てて彼も追いかけた。
流星、落ちる
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