泣かれている、気がした。誰かが、泣いている。置いていかれる、というシチュエーションは、まるでマスターのそれだ。切り離したのは私であるのに、悲しい気持ちが舞いおこる。
「これで、よかった」
何時の日かいなくなってしまった、出て来てくれなくなったマスターに、歳をとってしまった自分。若い芽を摘むわけにはいかなかった。まだまだ新しい世界ははじまったばかりである。必要なのは新しいそれであり、私のような古い掟が染み付いた存在ではない。
助けをこうつもりはない。きっと助けを呼べば、ジェイセン達は――特に私に懐いてしまっているジェイセンは――自分たちを危険に晒してまでも助けに来るからだ。
「年老いてしまったものだな」
そう呟けば、何処からか、あぁそうだな、なんて聞こえた気がした。
「……もう、眠っても、いいだろうか」
――あぁ、おやすみ。
ふわり、と頭を撫でられた気がした。瞼をつむれば、意識は暗闇に引っ張られるように沈んでいった。
そうして星は流星となる
16/63
← top →