「――……!マスター!!誰か来て!!」
ふっと浮上した意識に、がたりと起き上がる。そうだ、私は、ケノービを庇って――。しかし、周りに見える場所は記憶にあるそれではなく、森の中だった。懐かしい、そこだ。
「帰って、これた?」
そう認識した瞬間、安堵で体から力が抜ける。ふにゃり、と地面に座りこめば、少年が私を支えた。
「マスター!!」
「……もしかして、ジェイセンか?」
「っ〜〜!!」
記憶にある彼よりも若干大人びている。ジェイセンは私に痛いくらいに抱きつくと、顔を上げた。
「二年間、今まで何処へいっていたんですか!!マスター!!」
「二年?」
「そう!二年です!!」
それは心配をかけてしまったなてて眉尻を下げる。ジェイセンは泣きそうになりながら私に抱きついた。あやすように背中をさすっていれば、がさりと揺れた茂み。
「おい、ジェイセン、どうし……」
現れたハン・ソロは私を見て停止したが、すぐに我に戻ったらしい。私の近くまで来ると、確認するように、「リア、だよな?」と尋ねる。私が肯定すると「何も言わずにどこほっつき歩いてたんだ!!」と殴られてしまった。
そこからは、まさに怒涛であった。レイアとジェイナ、弟子には号泣され、ルークにも怒られ、また、反乱軍の仲間であった人達や私にまつわる人達に説明し……全てから解放され、気づけば真夜中である。自分が故意にしたものではないのだから、許して欲しいところだ。
「――リア」
聞こえてきた声に振り向けば、少々怒った表情のマスターがいた。ケノービではないその姿に懐かしくなってつい手を伸ばす。触れられない、のだけど。
「本当は何処へ言ってたんだ?」
本当は。反乱軍の仲間達には、ふらっと昔の資料を探しにいくついでに修行しただとか、そういう言い訳で通したのだが、さすがのマスターには通じなかったらしい。本当のことを言っていいのかわからず、眉尻を下げみるがマスターは眉間に皺を刻んだだけだ。こうなると、バラした方が手っ取り早い。一息着いてから、まっすぐにマスターをみる。
「この世界の、過去に飛ばされてました」
「過去、だって?」
「えぇ、この森でうたた寝していたら過去に飛び、若い貴方とマスター・クワイ=ガンに助けられてパワダンからジェダイ・マスターまでやってました」
「まさか、リア、なのか?」
「私は私です。あぁ、証拠なら――」
首にかけられた星のお守りのネックレスを見せれば、マスターは固まる。
「マスター?」
「……君は、リアの娘だと思っていた。リアそっくりな娘だと」
「娘に同じ名前つけるセンスはないですよ」
そう言って肩をすくめれば、彼は緩やかに笑う。ただ、一筋の涙を流して。
「君はあの時に死んだかと思った」
マスターが私の顔に触れようとして、透けて消える。
「……マスターは、怒らないのですね」
「アナキンの、」
「別にリアのせいじゃない。……言いたくはないが、それが定めだったんだろう」
そうだろうか。きっと、救えたはずなのに。
「それより、リア」
「はい、マスター」
「おかえり」
「ただいま、マスター」
導かれて、帰還
14/63
← top →