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 どれだけまた時間がたったのか。アナキンはいつの間にか青年になっているし、ケノービも年を重ねて私のマスターの面影を感じるようになった。かくいう私はと言うと、外見上は全く歳をとらない。周りも不思議がってはいたが、普通のヒューマノイドより外見上の歳を重ねるのが遅い種族の出なんだろう、と勝手に結論をだされた。
 私なりの結論は、ルーク達の元へ戻った際、歳を重ねていれば不自然になるという理由で何故か歳を取らないのではないかと思う。だからか知らないが、弟子であるまだ幼いシラーが一時期「マスターお化け説」を信じていた。無論、吹き込んだのはアナキンである。面白いから放置していれば、話が広がってしまったため慌てて話を訂正したのは記憶に新しい。
 変わったこと。周りの外見や、自分に弟子がついたこと、功績をまあまああげているためマスターになるのも近いこと、の他に決定的な変化もちらほら。

「リア!」
「アナキン、」
「アナキン、僕は!」
「あぁ、いたのかシラー、小さすぎて気づかなかった」
「なんだと!」

 アナキンに懐かれた。というか、いつしか姉のように(母とは思いたくない)慕われるようになった。そして、私の弟子であるシラーもアナキンに懐き、アナキンはアナキンでシラーにはまるで自分の弟のように接している。
 後、この場にいないケノービがタメ口で話すようになったことも変化だろう。それに乗じて私もだ。それは、彼が歳を重ねたことも私が歳を重ねないことも理由に含まれている。

「珍しいな、ケノービは一緒じゃないのか」
「あぁ、オビ=ワンなら、報告書とは別に何か書類を作らないといけないって」
「それはもしかしなくとも、私が頼んだものか……別に帰ってきた今日じゃなくても……」
「それは直接本人に言ったらいいんじゃない?俺がシラーの相手してるし」
「うん、僕、アナキンにアタール教えてもらっとく」
「……そうか」

 ニコニコと笑っている二人に眉尻を下げる。だが、だいたいつっこめば変な事に巻きこまれるのでスルーが一番最善の方法だろう。私は2人に背をむけて歩きだす。二人がなにか言っているようだったが、きこえなかった。




「ケノービ、いる?」

 ひょこり、と扉から顔を出せば、彼はこちらを振り向いて、驚いた表情を見せる。「リア、」と目をパチクリと瞬く彼に近づけば、やはりやっていた作業は私の頼んだそれで。

「ありがとう、でも、後日でもいいよ」
「いや、リアの仕事に響くだろう?」
「その前に、ケノービの健康に響かれたら困る」

 眉尻を下げて、コツンと頭を小突く。彼は緩やかに笑った。

「あぁ、そう言えば、ケノービ、君に渡すものがあったんだった」
「俺に?」
「そう」

 渡すものをポケットから取り出して、ケノービに握らせる。まるで、あの時のようだな、なんて苦笑する私にケノービは首を傾げた。

「見てもいいのか?」
「どうぞ」

 恐る恐る彼は手を開ける。手に握らしてたのは、あの星のネックレスだ。私のそれと違い海のような青い色のそれである。彼は物珍しそうにそれを眺めた。ライトに照らされてキラキラと輝くそれは美しい。

「高価そうなものだ、君の持つものに似ている」

 彼の言葉に、まぁ同じものの色違いだろうから、と返せば彼は豆鉄砲を食らったような顔をする。それに首を傾げれば彼は苦笑して、ありがとうと礼を告げた。

「これは、もともと、お守りらしい」
「お守り?」
「『この星の形のお守りを身に着けていれば、どこにいても仲間と必ず再会できるという伝承がある』というのは、マスター・クワイ=ガンの受け売りだよ」
「まさか、君のそれはマスターにもらったものか?」
「そう。だけど、彼は私にこれを渡した後帰らぬ人になってしまったけどね」

 そう言って肩をすくめれば、彼はどこか困ったような表情をする。

「……マスターと、何か関係を?」
「いや、仲間だっただけ。彼の気まぐれのプレゼント」
「本当に?」
「私にとってはね。掟もあることだし」

 私の言葉に彼はそれ以上の言及を避けた。また、ネックレスを持ち、ありがたく受け取る、と笑った。

「でも、どうしていきなり?」
「君と、もう一度会いたかったからじゃないかな?」

 なんとなく、のそれだ。だから、疑問形。それを告げれば、彼は何時かのときのように固まった。

「……何時か、別れはきっとくる」

 私が元の時代に戻る時が、きっと来るはずなのだ。

「再会できるさ」
「……再会しても、私は幼く、貴方の記憶をなくしているかもしれないね」

 小声で呟いたそれに、彼は首を傾げた。

星の導きを願って


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