「リア、これを君に」
偶々出会ったマスター・クワイ=ガンに何か握らされる。手を開けてみれば、星のような形をしたアクセサリーだった。キラキラと桜色に輝くそれは、とても美しいそれだ。
「こんな高価そうなもの受け取れません、マスター」
「いや、受け取ってくれ。君に持っていて欲しい」
「どうして、」
「どうして、か、困ったな」
眉尻を下げた彼に、まさかと首を左右に振る。聞いてはいけない言葉が出てきそうで、恐ろしかった。彼はそれを見て緩やかに頷く。
「あぁ、そうだな。では、これは仲間の印として受け取ってくれ」
「……」
「何処かの星ではーー」
マスター・クワイ=ガンは視線を私から外の景色に移す。外は相変わらずの夜景が広がっている。
「この星の形のお守りを身に着けていれば、どこにいても仲間と必ず再会できるという伝承があるらしい」
「何処かへ行かれるのですか?」
「いや、君とまた再会したかっただけだ」
そう私に告げた彼は、笑って「時間だ」と言って私の肩を叩いた。
それが、最後の会話になるだなんて、思いもしなかったが。
「ケノービ」
目の前にいる背中に声をかける。彼は気づいていないのかちっとも振り向かない。私はため息をついて彼の肩を叩いた。
「ケノービ」
意地でも振り向かない気であるらしい。もう一度ため息を吐く。
「……オビ=ワン」
やっとのことで振り向いた彼を、小さい子をあやすように抱きしめる。このケノービが、あのマスターになる過程。それにこれからおこりえるだろうこと。彼はどれだけ背負って生きていたんだろうか。そんな中、私も世話になっていたのだから、どこか、申し訳なくなる。声を押し殺して泣く彼の背中をさすれば、彼が私の服を握るのがわかった。
「すこしだけ、」
くぐもった声。彼は顔を俯かせたまま、その声で私に告げる。
「すこしだけ、こうしていてください、リア」
星の導きを
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