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「マスター、マスターは結婚しないの?」

 きょとん、と首を傾げたジェイセンに苦笑いをする。レイアとハンの息子である彼はとても色々なことに興味を持った。特に、フォース関連のそれである。だからか知らないが、彼はこうして私の家を訪ねることが多かった。
 私の家は、少し木の生い茂った森の中にある。ジェダイというか、弟子というか、そういうものへの指導の際にだけルーク達の元へ行くが、それ以外は大抵この場所にいた。騒がしいのが苦手、というわけではないが、ここにいると解放された気分になるし、尚且つマスターに教えをこうことができるからだ。フォースと一体になる、というそれを教えに彼は時たま現れてくれる。
 その日々がある限り、結婚しなくてもいいか、恋愛など面倒くさいだけだな、などと結論がつくのだ。

「しない、な」
「なんでー?」
「恋愛云々が面倒くさいし、私を娶る物好きはいないから、かな」

 そう告げて頭を撫でてやれば、ジェイセンは目を細めた。

「じゃあ、僕が、リアのお婿さんになってあげるよ」
「そうか、楽しみにしてるよ」

 ふふ、と笑えばジェイセンが満足そうに笑う。ハンがジェイセンを呼ぶ声が聞こえた為、ジェイセンの背を押せば彼は不服そうに私の元を後にした。

「結婚、ねぇ」

 考えたことがなかったそれ。ジェイセンには言わなかったが、はっきり言って言いよってくる男がいないわけではない。ただ、興味がわかない。恋愛云々でモヤモヤするのであったら、他のことに集中していたいのが本音だ。

 木陰で、す、と目をつぶる。いい風に眠気が襲ってきた。


夏の世の夢の泡沫のはじまり


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