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「リアもなんとか言ってくれよ!」

 イライラとするルークに、私はため息をつく。目の前にいるのは、緑色の小さな老人である。

「年上は労わりなさい、ルーク」
「だって!」
「ルーク」

 そう強く言えば、ルークは黙り込む。そのルークの頭をぐしゃぐしゃと撫でてから、小さな老人に目を向けた。

「申し訳ありません、ご老人。私たちは、ヨーダと呼ばれる人物を探しているのです。お心当たりはございませんか?」
「……あるような、ないような……」

 そうごねる小さな老人に、溜め息を漏らす。実はこの老人こそがヨーダなのはわかっているが、それはこちらから言ってはならないことだ。なぜ知ってるのかと疑われるだろう。自ら名乗ってくれないのならば、方向を変えるしかない。

「では、貴方の他にこの星に人は住んでいませんか?他の方にも話を聞きましょう」
「さぁなぁ、他に人はみたことがないのぅ」
「そうですか、では、話が早い。ミスター・ヨーダ、いえ、マスター・ヨーダ。私達はマスター・オビ=ワン・ケノービの導きでここに来ました」
「なんだって! リア、この老人がヨーダだっていうのか!?」
「その坊主の言う通りじゃ。わしがヨーダだとは一言もいっとらんぞ」
「そうですね。しかし、師はこの星にマスター・ヨーダがいるとはっきりと仰いました。そして、貴方は貴方以外の人は見たことがないと、いないと告げた。ならば、貴方がヨーダと言うことになるでしょう?」

 諭すようにそう言えば、マスター・ヨーダとルークが黙り込んだ。

「ルーク、相手がいくら突飛な行動をしたとしても、それだけで見極めてはいけない」
「……わかったよ、リア。僕が悪かった」

 投げやりに謝ったルークに苦笑いをこぼす。どうやら、彼の機嫌を損ねてしまったらしい。マスター・ヨーダに目を向ければ、彼は先程のような呆けた表情ではなく、キリッとした表情で口を開く。

「さすが、オビ=ワンの弟子と言えようか。その思慮深さは師匠に勝る」
「いえ。私にはマスターに勝てるものなどありません」

 緩やかに首を振れば、ヨーダは何処か優しい目をして私を見た。

「死んでもなお、師を慕うか」
「ええ、彼が見守り続けている限り」

 そう告げてみれば、ヨーダは頷き、「それに比べ」と次はルークを見た。

「思慮深さが足りん。忍耐力もな。お前にはフォースを扱うなど無理じゃ」
「いえ、彼は私に足りないものを全てもっています。真に英雄になれるのは彼でしょう」
「無理じゃ、闇に堕ちるのがみえとる」
「その時は、私が命をかけてでも、闇の淵より掬い上げましょう。それが、姉弟子である私にできることです」

 その言葉に、マスター・ヨーダが顔をしかめたのがわかった。ルークはこちらをキョトンと見つめる。
 ふわり、とまたどこからともなくマスターが現れ、マスター・ヨーダに頼み込んだ。そして、やっとのことで重い腰をあげたマスター・ヨーダは私とルークについてこいと告げる。

「リア」
「どうかしましたか、マスター」
「……全く、お前は誰に似たのか」

 ふっと吐かれたその言葉に、マスターじゃないですか?と答えておいた。


滑稽な老人を諭すこと


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