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NEVER DESPAIR:ULTIMATE

CAVALRY BATTLE-2-
『さぁ、上げてけ鬨の声! 血で血を洗う雄英の合戦が今!! 狼煙をあげる! 決勝へと駒を進める上位6チームはどこダァ!?』

 プレゼントマイクの声に、隣りにいるヘッドフォンを外した真詠さんに大丈夫? と訪ねておく。頷いた彼女に、良かったと笑えば彼女は顔を赤くした。

「オイオイ、青春してんじゃねェよ。ひきしめろー」
「そういうリグ君も緩いなぁ」

 そんな会話しているとカウントダウンが始まる。

 ―――3。

 ――2。

 ―1。

『START!!!』

 その声に、まずは様子見かな、と真詠さんをみる。彼女はすっと目を閉じると、また開いた。

「殆どが緑谷君狙いです」
「だろうなぁ」
「B組かろうぜ」
「右から敵意が……来ます!」

 その言葉に、リグが反応した。やって来た攻撃を器用にスルリと飛んで避けたリグはそのまま相手の動きを真似するように相手の鉢巻を手につかむ。それを見はらかって、次、後ろです!といった真詠さんに、仕方がないので足元に転がる石を後ろに蹴る手に当てれば問題無いだろうと一瞬背後を見て石を飛ばした。

「イテ!!」
「Nice、ヒロ!」

 そのまま飛び上がったリグはその後ろにいた鉢巻を奪う。

「ある程度ポイントを稼いで逃げるのが得策かな?」
「勝つことに重きを置けばそうなるな」

 僕のつぶやきに帝江くんが頷く。余裕たっぷりにあたりを見渡したリグは小さくずっと「アリナシ」と判別しているのがわかる。恐らく誰から奪うのがいいのか判断しているんだろう。それまではカウンターだ。今もまた真詠さんを狙ってきた相手をリグがヒラリと蹴散らすとそのまま鉢巻を奪った。

「帝江君って空気抵抗なんだよね」
「ああ、」
「なら、空気抵抗を使って宙に立つことやシールドをつくる可能なの?」
「それぐらいならできるが、中から降りた時に一歩でもずれたところに落ちたら摩擦熱で靴が燃えるかな」
「それは大丈夫。真詠さん、僕らを狙う人は近くにいる?」
「今はどうやって仕掛けるか考えてるみたい」
「リグ、判別ついた?」
「ああ、ついた。行けるぜ。物間に行く。アイツ、個性がそれとなく俺ちゃんと被ってるからイヤなんだよなぁ」
「……理由が理由だけど、まぁいいか」
「どうするんだ?」
「帝江君の能力で宙に飛んで、そのまま僕の個性で相手に奇襲というか突撃して奪う」
「そう言えば、ヒロくんの個性は?」
「僕は狙った的を外さない個性。僕らの靴をって考えればいけないこともない。蹴っちゃうことになるけど。最悪地面につかなきゃいいならリグを投げればいいかなって」
「俺ちゃんの扱い雑じゃネ?? なに、ほんとうヒロのデレは何時になったら俺に向くの??」
「成る程じゃあ、宙にも的は?」
「できるよ」
「スルーすんなよー」
「太陽に近いところで行こう。光に近ければ、相手は見られない」
「そうだね」
「なぁ、マヨミ、ひどくネ?? こいつら無視してくるんだけど、ひどくね??」
「じゃあ、とりあえず、」
「屋根付近真上、かな」

 そう言った彼にうなずいて「ごめんね、」と真詠さんにいって、二人の足をけとばすように軽く蹴る。そしてそのまま僕も飛び上がった。その間にも空気抵抗というか、頬をきるようなあの風はない。屋根付近につくと、帝江君の個性で足場ができていたらしい。そのまま動くこともなく着地する。下に目をやれば、何割かの観客と相澤先生は僕らに気づいていたらしい。コチラを見ている。

「リグ、何時でも行ける?」
「ああ、行けるゼ。今ならまだA組から余裕しゃくしゃくで奪ったばっかだから行ける。油断してる」
「じゃあ、行くよ!」

 もう一度二人の足を蹴る僕も飛び上がる。そのままリグにも触れておく。器用に落下する中器用に腰を浮かしたリグは僕らが着地するよりも早く物間君に手を伸ばした。僕らが着地すると同時に、唖然とする相手を置いてリグはスルリと彼が持っていた鉢巻を奪うと笑いながら器用にバランスをとり僕らの上に戻ってくる。

「このっ!」

 かかってこようとした相手に帝江君が何かしたらしい。おおよそ、空気抵抗で壁を創りだしたんだろう。
「終わるまでこのままかな?」
「残り1分ぐらいです」

 そう言った真詠さんに、リグは宙を見た。

「宙に浮いとこうぜ。ソッチのほうが、安全だろ」
「っていいながら、リグが空にいたいだけだろ?」
「周りの阿鼻叫喚が見たい」
「……なかなか性格悪いな」
「うう、でも、私もソッチのほうがありがたいです。頭が痛くなります……」

 真詠さんの言葉に、二人の足を蹴って自分も飛び上がる。帝江君は同じように空気抵抗を創りだして、僕らは空中に上がった。

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