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NEVER DESPAIR:ULTIMATE

OBSTRACLE RACE-3

 後ろからは爆ごうくんの声が聞こえる。そのまま仮想ヴィランと同じ容量で、ロープを数歩で渡りきっていく。
 次は、地雷原である。うーん、コレはどうしたものかな。慎重に行くしかないんだろうか。後ろからは爆発音のような音。爆豪君が近づいてきているのだろう。

「仕方ない、か」

 そのまま地雷原に足を踏み出す。よく見れば何処にあるのか分かる仕組みなのだ。なら、ない場所を的にすればいい話で。

「ッチ、ヒトトセが思ってたより早い」
「褒め言葉として受け取ろうかな!」

 ピキリと僕の足元を固めてこようとした轟くんのソレを飛び上がって交わし、一歩先に出ればまた凍らせてくる。

「はぁはぁ、俺は! 関係ねぇ!!」

 そんな言葉とともに、僕の反対位置に並んだ爆豪くんは轟くんを睨んだ。

「てめぇ、宣戦布告する相手を間違えてんじゃねぇよ!!」

 そんな叫びとともに僕らの先に出た爆豪くんに、実況をしているプレゼントマイクさんがなにか叫んだのが聞こえた。

「二人共喧嘩したの?」

 そんなことを思わず呟けば二人に睨まれ、同時に殴られかけた。おっと、と、バックステップで避け、一歩後ろに下がる。

「二人がその気なら、いいかな!」

 そういって、二人の先に『的』を絞れば、後ろから凄い爆風がきた。チラリと後ろを見れば、緑谷くんが装甲に乗って現れた。ナルホド、爆豪くんの個性の容量で進んできたらしい。

「ぼくも、負けれないよね!」

 的を緑谷くんの装甲に切り替える。そのまま大きく飛び上がり、緑谷くんを失速させるとともに、出口付近の木のポールに狙いを絞り、それを蹴った。
 その瞬間、またすごい爆音と爆風が巻き上がり、砂埃が舞い上がる。思わず両手で顔を塞いだが、足はポールにちゃんと着地したらしい。そのまますこし目をこすり、砂埃から脱出すれば先に緑谷くんが見えた。そのまま追いかけるようにして彼の後を追う。ピキリ、と固まる音にその場を飛びのけば、轟くんと爆ごうくんが来ていた。

「邪魔だ!」
「ソレは僕のセリフかな!」

 そう告げて横に並んだ二人に並ぶ。
 ラストスパートだ、というばかりに駆け抜けるが、ピキリ、とまた手が凍った。それに気を取られれば、轟くんと爆豪くんが僕の一歩前に出た。その瞬間、スタジアムのなかにたどり着く。どうやらゴールしたようだ。

「――ううん、最後に気を取られたのが痛手だなぁ」

 そうため息を付いて、軽く息を整える。そして、緑谷くんを見た。彼の思考は凄いと思う。そのまま緑谷くんに近づけば彼は振り返った。

「負けたよ、デクくん。なんていうか、すごい思考力だよね」
「そうかな? でも、ヒロくんもすごかったよ! あれどうやったの?」
「最近、百発百中の応用の仕方に気づいて。ずっと戦闘のことしか考えてなかったんだけど、映画を見てひらめいたんだ」
 今回の体育祭は弓を使えないしね。

 そう肩を竦めれば、デクくんは「そうだね」と眉を八の字にした。後ろからは次々とゴールしてくるのが見える。そこに、あの帝江くんがいて、少し顔をしかめてしまったのは仕方がない。

「ヒロくん?」
「……ううん、なんでもないよ」

 そう笑っていると麗日さん達がこちらによってくる。梅雨ちゃんを見て、笑って手を小さく振れば彼女もコチラに近づいてきた。

 ――どうして。父さんは、ヒーローになりたくないという彼をヒーローと認めるんだろうか。


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