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NEVER DESPAIR:ULTIMATE

WOULD ONLY TAKE ME AS I AM-4
「嫌われたものだな、まぁ、アイツは俺も嫌いだが」

  不意に聞こえた声にそちらを向けば、父親がいた。それにギュッと眉間に皺を寄せれば父親は僕を見る。

「相澤が言った通り、俺はお前の個性を危険視している」
「……だから、S.H.I.E.L.D.に入れって?」
「ああ、そうだな。簡潔的にいえばそうだ。だが、今のお前はヒーローに向かない」
「そんなこと、!」
「そんなことわからない?じゃあ、俺の言葉に逆上して無闇に敵に突っ込んだのは誰だ?敵の個性を把握せずに挑んだのは?お前は自分の未熟さがわかってない」
「わかってるよ!」
「いいや、わかってない。じゃあ、自分の個性が暴走したらどうなるかわかるのか? スカーレットウィッチのように、個性を持つ人間さえも少なくできる能力があるんだぞ」
「あれはコミックの話じゃないか!」
「コミックの話……そうだな、コミックの話だ。じゃあ、コミックの話じゃない話をしよう。ケイトでさえ力を暴走させたというのに、お前が力を暴走させない確証はどこにある?」

 まっすぐな目でこちらを見た父親に、固まる。母さんは僕と似た能力がある。それは魔法と言ってもいい。

「自我があればまだいい。敵の個性に操られてしまったら? 敵にはマインドコントロールできる人間もいる」
「それは、」

 父親から目を泳がせる。だって、でも、それは。色んな言い訳が頭に浮かぶけども、口には出せない。

「お前はヒーローには向かない。いや、お前の『個性』はヒーローに向かない。ヒーロー向けの人間なんか他にいる。お前のクラスの緑谷や、普通科の?江……まぁ、?江にいたってはお前とは真逆だろうが」
「……」
「諦めろ。S.H.I.E.L.D.に入れ。俺は家族として心配なんだ」

 グシャリと僕の頭を撫でた父親に、ぎゅっと手を握りしめる。

「仕事でずっといなかった癖に、今更父親ぶるな!」

 そう手を払って父親を睨む。

「僕が今までなんて周りに言われてきたと思う!? 僕がいくら頑張っても、トニー・スタークの息子だから、親の七光りだから、って言われ続けた!S.H.I.E.L.D.なんかに入れば、またそれの繰り返しだ!!」
「……」
「だから僕は独立するって決めたんだ!ヒーローになって、人を助けて、僕を僕として認めてもらうって!僕の個性の危険性?わかってるよ!そんなもの!だから雄英に入った!!なのに、家族だからって特別扱いしないでよ!」

 言いたいことだけ告げればため息をついた父親は「誰に似たんだか……」と呟く。

「わかった、特別扱いはよそう、Mr.。君は是非ともS.H.I.E.L.D.に来て欲しい」
「行かない」
「まぁ、そう即答するな。自称・お前の親友がこっちに来てるから、お前が体育祭でそいつより悪い成績なら君を遠慮なくアメリカに連れて行き、S.H.I.E.L.D.に入れることにしよう」
「は……」
「じゃあ、ヒトトセくん、また会おう」

 そう片手をあげて去っていった父親に、僕は固まる。
 今、なんて。自称・僕の親友ってまさか。
 問おうとすれば、父親はもういない。その代わり、お弁当を持ったオールマイトと緑谷くんがいた。

「あれ? ヒトトセくんだ」
「……緑谷くん、今の聞こえてた?」
「え? なんのこと?」
「ううん、聞こえてないならいいや。また教室で」

 そう告げて足早にその場を離れる。首を傾げた緑谷くんには悪いけども。

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