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NEVER DESPAIR:ULTIMATE

WOULD ONLY TAKE ME AS I AM-1
 僕には所謂幼馴染というやつが二人いる。かたや、この前話した親友のナオミ。彼女は個性を持たないけれど、そのかわりずば抜けた頭脳を持っていて、世界最大のヒーローサポート会社であるSTARK.incで働いている凄い同い年だ。
 今回、問題なのは――。

「Tsup,ヒロ?」

 そう片手を上げて、フランクに挨拶して見せた奴だ。どうしてここにいるんだ、とか、なんでお前がここにいるの、とか、色んな事が心中渦巻くけども。とりあえず、言えるのは。

「その踏んでる子から退きなよ、リグ」
「あー? あー……そうだった、なんか下がやらけーとおもったよ、」

 リグは僕が幼馴染と認めたくないほど、変な奴、ということだ。



 あのヴィランの襲撃があってから。何も変わっていないようで、何か変わったんだろう。
 僕はといえば、ランニングの距離を伸ばした。というか、ワザと遅い時間に家を出てフリーランニングで学校へ行くようになった。目標はいつもと変わらない時間に、いつもと変わらない道を通る梅雨ちゃんにおいつくことだ。
 僕に必要なのは、相澤先生のような冷静さに、彼のような動き方だと思うのだ。緑谷くんも、僕を相澤先生みたいなヒーローと言っていたし、そちらを目指した方がいいと方向を決めた。
 決めてしまえばあとははやくて、なにをしなければならなくて、なにが無駄なのか、だなんていうことがはっきりしてくる。

「おはよう、梅雨ちゃん」

  目の前にいる梅雨ちゃんにそう声をかけて止まれば、きょとん、とした顔を見せた梅雨ちゃんに首をかしげる。

「ヒロくん、おはよう。ヒロくんがいないなっておもえば、走ってきたのね?」
「うん、鍛えようと思って。汗臭い?」
「大丈夫よ」

 僕の問いに左右に首を振った梅雨ちゃんにそっか、といって隣に並ぶ。
 相澤先生大丈夫かしら、と言った梅雨ちゃんに、多分理事長が怪我を治してるんじゃないかなぁ、と言ってみる。母さんは相澤先生を気に入っているように見える。だから、多分なおされてるだろう。

「理事長……?」
「……この前の女の人、だよ?」
「何処かで見たと思えば、そうだったのね。強い個性だったわ、魔法みたいだった」
「ははは」
「思えば、凄い現場を見れたのね。オールマイトにトニー・スターク、理事長……どれも凄いヒーローよ。そういえば、」

  梅雨ちゃんがそう言って僕を見あげる。僕は梅雨ちゃんを見下ろした。

「ヒロくんは、どこか、トニー・スタークに似てるわね」
「……外国人だから、じゃないかな」
「そうかしら……?」

 首をかしげた梅雨ちゃんにそうだよ、と答える。そのまま話題を切り替え、勉強の話にする。
 梅雨ちゃんはいつも思うけど、なかなか鋭い。

 教室について、席に座る。八百万さんと轟くんに挨拶をしカロリーメイトを口に放り込んだ。こちらを向いた轟くんにどうしたの? と尋ねる。何かを言いかけてやめた彼にどうしたものか、と首を傾げた。
 しばらくすると包帯ぐるぐる巻きの相澤先生が現れる。治してもらえなかったのかな?と思ったけども、歩き方を見る限りでは中途半端に治されたんだろう、と推測できる。
 そんな一見ボロボロの先生が緊急事態のように切り出したのは体育祭の話題だった。

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