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NEVER DESPAIR:ULTIMATE

RESCUE?-8
「完全に虚をつかれたね。それより今は生徒の安否だ。理事長が来てると思ったんだけど」

 そういって降ろされたネズミのようなその人は僕を見る。あんに僕に母さんが来ていたか聞いているらしい。

「――さっきまで、幻影のほうがこっちにいました。トニー・スタークさんが別の場所にいるかと」
「ああ、よかった。トニーさんも来てくれてたんだね」

 僕の言葉に、先生たちの視線が僕に向くのがわかる。ぎゅっと拳を握って、顔をうつむかせる。
 ――悔しい。なにも、できなかった。これじゃあ、父さんに『向いていない』といわれても何も言い返せない。
 そんな僕の内心とは裏腹に、父親が八百万さん達を連れてやってきた。

「後一人、火事の方と、台風の場所にも生徒がいるようだ」
「それはこっちで対処します」
「逃げられたか」
「ええ」
「――すこし調べることがある。俺は先にお暇することにしよう。もうじきケイトが来るだろう」

 そう言った父親は、僕の隣を通って行く。

「お前にヒーローは、向いてない」

 そんな言葉をつぶやいて。

「あっはっは」

 不意にそんな笑い声が聞こえて、後ろを振り返る。そこにいたのは、紛れも無い母さんだ。母さんはポンっと僕の頭を叩いて、ぐしゃぐしゃとなでた。

「やっぱり過保護だなぁ。自分もヒロみたいな時期があったくせにね」
「理事長!」
「やっほー、根津っち。警察連れてきた」

 そんな母さんの背後には、警察と思わしき人々がいる。相澤先生を担いだマイク先生がひょっこりと顔を出した。

「理事長、」
「うん、任せて連れてくよ。ついでにUSJ直してく。私のお気に入りの場所だし。事後処理と警察云々は根津っち、お願いね」
「ええ、まかせてください」

 母さんがどこからともなく杖を取り出すと、その杖で地面を叩く。すると、そこを起点に建物が元に戻り始めていく。それをみて、生徒だけでなくあの根津っちとよばれた鼠さんや先生たちが目を瞬かせた。

「やっぱり、理事長の個性はすごい」
「あー、教員はあとで会議室集合。今回のことで、会議。警察も来てくれたら嬉しいな。ちょっと色々と伝達事項があるし」

 そんな言葉をつぶやくと、母さんは相澤先生に触れて、消えた。
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