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NEVER DESPAIR:ULTIMATE

RESCUE?-6
 オールマイトが階段を蹴るとヴィランが飛んでいった。早くて目が負えない。相澤先生を抱き上げて移動させたオールマイトがヒトコトなにか言ったけれど、僕らには聞こえなかった。オールマイトは次に、緑谷くんや梅雨ちゃんを助けると相澤先生の方へ連れて行く。そして、黒い巨大な人物――あれは人といえるのかはわからないけれど――に向かって立ち向かった。しかし、攻撃は全く聞いていないらしい。父親は雑魚を蹴散らしているらしい。

「なにしてるんだ、現役ヒーロー」
「先生も手厳しい! マジで全然効いてないな!」
「聞かないのはショック吸収だからさ。脳無にダメージを与えたいならゆうっくり肉を剥ぎ取るのが効果的だね。そうさせてくれるかは別として」
「なるほどな。なら、許容範囲を――」
「ワザワザサンキュー! そういうことなら、わかりやすい!」

 オールマイトがそのままバックドロップを仕掛ける。父親が「話を最後まで聞け、これだから脳筋は」と毒づくのが聞こえた。霧が晴れる前に、緑谷くんがオールマイトに向かっていくのが見える。それと同時に、父親がオールマイトの方へ向かうのが見えた。再び現れた黒い塊に、邪魔をさせるかと矢だけを持つ。爆豪くんが殴ったそれに向かって2本の矢を投げれば狙い通り矢は黒い塊の首元に刺さった。バチリ、と言う音とともに黒い塊が悲鳴に似た声を上げる。ひとしきり電撃が終わったところを爆豪くんがとらえた。いつの間にか凍りついた巨大なヴィランに父親がビーム光線を当てたのが見える。腕は氷のせいかパキリパキリと損傷し出し、それを機にオールマイトが拘束から抜けだした。

「出入口を抑えられた。こりゃあピンチだなぁ」
「このうっかり野郎め。」
「! ヒロ! ソイツに向かって、三番目の矢を放て!」
そう告げた父親は、爆豪くんを抱き上げる。僕が屋を投げるより早く、損傷していたはずの黒い奴が動き出し、父さんたちがいた場所を襲った。

「……ヒーリングファクターを持ってる奴がいるとはな」
「ああ〜。『超再生』は公式の見解ではそういう名前なんだね。脳無はオールマイトの百%にも耐えれるように改造した超高性能『サンドバック人間』さ」
「倫理に反する、といいたいが、ヴィランに常識はなかったな。改造の話、詳しく聞かせてもらおうか」
「捕まえられると思ってるの?」
「捕まえないと、妻がスネそうだ。ただでさえお気に入りの生徒がボコボコにされてるからな」
「生徒?」
「おい、降ろせ!」

 じたばたと暴れる爆豪くんをおろした父親は、オールマイトの隣に降り立った。

「誰がスネそうだって?」

 聞こえてきた声に、僕らが上を見上げる。そこにいたのは、紛れも無く母さんである。杖のような物を持って空中から見下ろしている様は、どこかの魔法使いみたいである。それを見て、父親が「……ご愁傷様だな」、オールマイトが「先生、」と見上げた。「また増えた、」とは、手だらけの男の言葉である。

「仕事増やしやがってこの野郎」
「珍しく仕事をしてたのか?」
「してたわ。アメリカで予算申請中だったわ」
「おい、そっちはどうしたんだ。いっちゃなんだが、こっちはこっちで対応できたがそっちは対応ができないだろう」
「本体が対応してる」

 淡々と会話する二人に、誰だよ、アイツ、と轟くんが顔を顰めてつげる。緑谷くんも首を傾げる。

「オールマイト、力を増してあげるからそれどうにかして」
「わかりました」
「トニーは他の生徒助けに行って」
「わかった。お前は?」
「生徒と消ちゃん、アポロくんの安全確保して戻る」

 そんなことをノンビリと告げる母さんの後ろには、あの改造人間である。「うしろ!!」と誰かが叫んだが、改造人間が殴ったそれは幻影のように消える。そして、母さんはまた爆豪くんや緑谷くんの前に現れた。


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