たどり着いたのはまるでテーマパークのような場所だ。周りがUSJだ! USJだ! と騒いでいるのに首を傾げれば、近くにいた麗日さんが「大阪にあるユニバーサルスタジオジャパンというテーマパークの略だよ」と教えてくれた。なるほど。
「USFやUSHの日本版だね」
「USF? USH?」
首を傾げれた緑谷くんと麗日さんに、付け足す。
「Universal Studios FloridaとUniversal Studios Hollywoodの略だよ。フロリダとハリウッドにあるんだ」
「本場の方かー」
「へぇ、ヒトトセくんって物知りだなぁ」
「うーん? 物知りというか、なんというか」
言葉を濁せば、宇宙服をきた人が現れる。スペースヒーロー13号だ。確か、ヴィランを取り締まると言うよりは災害救助系のヒーローで、まさに救助訓練の授業に彼はうってつけなんだろう。
「水難事故、土砂災害、火事……エクセトラ。あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も……ウソの災害や事故ルーム」
先生の言葉にクスリと笑う。頭文字をとれば、USJだ。まわりは13号先生の登場にワァワァと盛り上がり始める。特に麗日さんは物凄い喜んでいる。
「えーと、始める前にお小言を一つ二つ……三つ……四つ……」
13号先生の増えていく言葉に苦笑いをする。
「皆さんご存知だと思いますが、僕の個性はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」
「その個性でどんな災害からも人をすくい上げるんですよね」
先生の言葉に緑谷くんがそう答えた。僕も何度か向こうでニュースやネットニュースなんかで見たことがある。
「ええ。しかし、簡単に人を殺せる力です。みんなの中にもそういう個性がいるでしょう。超人社会は個性の使用を資格制にし厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます。しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せる行き過ぎた個性をここが持っていることを忘れないでください」
この授業では人命の為に個性をどう活用するか学んでいきましょう。
先生の言葉に頷く。たしかに、僕らが持つ力は危険だ。人を軽々殺すことだってできる。だからこそ、人を助けることでマイナスをプラスにかえなきゃいけない。昔のヒーローが、してきたように。
「理事長の口癖に、大いなる力には大いなる責任が伴う、という言葉があります。私たちの力には責任があります。決して人を傷つける為にあるのではない。救ける為にあるのだと心得て帰ってくださいな。以上、ご静聴ありがとうございました」
先生の締めの言葉に、まわりはパチパチと拍手を送る。ブラボーなんて言葉を送るのは、飯田くんだ。
大いなる力には、大いなる責任が伴う。母さんと父親がよく口にする言葉だ。S.H.I.E.L.D.の根幹でもあるそれは、昔のヒーローの礎だったとも聞いたことがある。
「そんじゃあまずは」
ぞくり。
何か嫌な感覚がして、僕が噴水の方を見るのと、相澤先生が「人かまりになって動くな!」と声を荒げたのは同時だった。
「なんだありゃ!? また入試ん時みたいに――」
「違う、あれは、」
「動くな、アレはヴィランだ!!」
黒い塊から現れるヴィランに、そっと弓に手を伸ばす。黒い塊は人のような形になる。と、いうことはアレは個性を持った人なんだろう。
「13号に、イレイザーヘッドですか」
先日頂いた教師側のカリキュラムでは、オールマイトがいるはずなのですが。
黒い塊のことばに、こいつらの狙いがオールマイトだとわかる。ピリピリと感じる嫌な感覚に眉を潜めていれば、中から現れた手だらけの男が「子供を殺せば来るのかな、」だなんてことばを吐いた。
「ヴィラン!? ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」
「いいや、違うよ。アホじゃない。さっき敵はカリキュラムを盗んだって言ってた。これは練られた作戦だよ」
「ヒトトセの言う通りだな。校舎から隔離された空間、ヒーロー学科とは言え多数のヒーローの卵にたいし、教師はオールマイトがいても三人だ」
「スターク製のセンサーが切られてるのを見ると、そういう個性持ちがいる」
「冷静に言うところじゃないだろ!?」
「慌てても何も起こらないよ」
「13号、避難開始! 学校に連絡試せ! 電波系のやつが妨害している可能性もある! 上鳴、お前も個性で連絡試せ!」
「ッス!」
上鳴くんの返事を聞いた相澤先生はチラリと僕を見る。
「ヒトトセ、お前もだ。理事長かアイツに連絡試せ」
「すべがないです!」
「あるだろ。お前は少なくともここの連絡システムについて知ってるはずだ」
そういった先生に、眉をひそめる。知らない、と言いたいがそんなことを言っている場合じゃない。
「先生は!? 一人で戦う気ですか!?」
緑谷くんの言葉に、相澤先生は「一芸だけじゃヒーローは務まらん」と言ってヴィラン集団に飛び込んだ。ため息を付いた僕の隣に来たのは、13号先生だ。
「貴方がヒトトセくんですね。場所が場所ならゆっくりと会話したいところですが」
「システムの廃盤はどこに?」
「私にもわからないのです」
「父さんが貴方に見せた時、何かに呼びかけていましたか?」
「はい、確か『ウルトロン』と」
13号先生の言葉に、やっぱりか、と思う。ウルトロンは父親が作り上げたシステムa.i.だ。ポケットに忍ばせたスマートフォンを取り出そうとした時、前に真っ黒なソレが現れる。
「初めまして。我々は敵連合。僭越ながら……この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは、平和の象徴オールマイトに息絶えていただきたいと思ってのことでして」
真っ黒なソレの言葉に、弓を手に取る。ヴィランに襲いかかった切島くんと爆豪くんに、13号先生が止めに入った。が、時は遅し。真っ暗なそれに包み込まれてしまった。
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「USFやUSHの日本版だね」
「USF? USH?」
首を傾げれた緑谷くんと麗日さんに、付け足す。
「Universal Studios FloridaとUniversal Studios Hollywoodの略だよ。フロリダとハリウッドにあるんだ」
「本場の方かー」
「へぇ、ヒトトセくんって物知りだなぁ」
「うーん? 物知りというか、なんというか」
言葉を濁せば、宇宙服をきた人が現れる。スペースヒーロー13号だ。確か、ヴィランを取り締まると言うよりは災害救助系のヒーローで、まさに救助訓練の授業に彼はうってつけなんだろう。
「水難事故、土砂災害、火事……エクセトラ。あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場です。その名も……ウソの災害や事故ルーム」
先生の言葉にクスリと笑う。頭文字をとれば、USJだ。まわりは13号先生の登場にワァワァと盛り上がり始める。特に麗日さんは物凄い喜んでいる。
「えーと、始める前にお小言を一つ二つ……三つ……四つ……」
13号先生の増えていく言葉に苦笑いをする。
「皆さんご存知だと思いますが、僕の個性はブラックホール。どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます」
「その個性でどんな災害からも人をすくい上げるんですよね」
先生の言葉に緑谷くんがそう答えた。僕も何度か向こうでニュースやネットニュースなんかで見たことがある。
「ええ。しかし、簡単に人を殺せる力です。みんなの中にもそういう個性がいるでしょう。超人社会は個性の使用を資格制にし厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます。しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せる行き過ぎた個性をここが持っていることを忘れないでください」
この授業では人命の為に個性をどう活用するか学んでいきましょう。
先生の言葉に頷く。たしかに、僕らが持つ力は危険だ。人を軽々殺すことだってできる。だからこそ、人を助けることでマイナスをプラスにかえなきゃいけない。昔のヒーローが、してきたように。
「理事長の口癖に、大いなる力には大いなる責任が伴う、という言葉があります。私たちの力には責任があります。決して人を傷つける為にあるのではない。救ける為にあるのだと心得て帰ってくださいな。以上、ご静聴ありがとうございました」
先生の締めの言葉に、まわりはパチパチと拍手を送る。ブラボーなんて言葉を送るのは、飯田くんだ。
大いなる力には、大いなる責任が伴う。母さんと父親がよく口にする言葉だ。S.H.I.E.L.D.の根幹でもあるそれは、昔のヒーローの礎だったとも聞いたことがある。
「そんじゃあまずは」
ぞくり。
何か嫌な感覚がして、僕が噴水の方を見るのと、相澤先生が「人かまりになって動くな!」と声を荒げたのは同時だった。
「なんだありゃ!? また入試ん時みたいに――」
「違う、あれは、」
「動くな、アレはヴィランだ!!」
黒い塊から現れるヴィランに、そっと弓に手を伸ばす。黒い塊は人のような形になる。と、いうことはアレは個性を持った人なんだろう。
「13号に、イレイザーヘッドですか」
先日頂いた教師側のカリキュラムでは、オールマイトがいるはずなのですが。
黒い塊のことばに、こいつらの狙いがオールマイトだとわかる。ピリピリと感じる嫌な感覚に眉を潜めていれば、中から現れた手だらけの男が「子供を殺せば来るのかな、」だなんてことばを吐いた。
「ヴィラン!? ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」
「いいや、違うよ。アホじゃない。さっき敵はカリキュラムを盗んだって言ってた。これは練られた作戦だよ」
「ヒトトセの言う通りだな。校舎から隔離された空間、ヒーロー学科とは言え多数のヒーローの卵にたいし、教師はオールマイトがいても三人だ」
「スターク製のセンサーが切られてるのを見ると、そういう個性持ちがいる」
「冷静に言うところじゃないだろ!?」
「慌てても何も起こらないよ」
「13号、避難開始! 学校に連絡試せ! 電波系のやつが妨害している可能性もある! 上鳴、お前も個性で連絡試せ!」
「ッス!」
上鳴くんの返事を聞いた相澤先生はチラリと僕を見る。
「ヒトトセ、お前もだ。理事長かアイツに連絡試せ」
「すべがないです!」
「あるだろ。お前は少なくともここの連絡システムについて知ってるはずだ」
そういった先生に、眉をひそめる。知らない、と言いたいがそんなことを言っている場合じゃない。
「先生は!? 一人で戦う気ですか!?」
緑谷くんの言葉に、相澤先生は「一芸だけじゃヒーローは務まらん」と言ってヴィラン集団に飛び込んだ。ため息を付いた僕の隣に来たのは、13号先生だ。
「貴方がヒトトセくんですね。場所が場所ならゆっくりと会話したいところですが」
「システムの廃盤はどこに?」
「私にもわからないのです」
「父さんが貴方に見せた時、何かに呼びかけていましたか?」
「はい、確か『ウルトロン』と」
13号先生の言葉に、やっぱりか、と思う。ウルトロンは父親が作り上げたシステムa.i.だ。ポケットに忍ばせたスマートフォンを取り出そうとした時、前に真っ黒なソレが現れる。
「初めまして。我々は敵連合。僭越ながら……この度ヒーローの巣窟雄英高校に入らせて頂いたのは、平和の象徴オールマイトに息絶えていただきたいと思ってのことでして」
真っ黒なソレの言葉に、弓を手に取る。ヴィランに襲いかかった切島くんと爆豪くんに、13号先生が止めに入った。が、時は遅し。真っ暗なそれに包み込まれてしまった。
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