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NEVER DESPAIR:ULTIMATE

DECIDE COMMISSSIONER
 全くもって、今日は変な1日だ。

 朝、梅雨ちゃんと登校すると、沢山のマスコミが校門前にいた。僕らが近づくにつれ歩み寄ってきた彼らに嫌な顔をしてしまったのは仕方がない。 マスコミ、といえば、小さい頃から父親が引き連れている覚えしかない。父親がいるんだろうか、とか、父親があの人だとばれたのかな、とか、思っていれば聞かれたのは、
「オールマイトの授業はどんな感じ!?」
である。
 とりあえず、彼の授業はまだ受けていないと嘘をついて、きっといつもみたいに熱血だと思います、と付け加える。畳み掛けてきそうなマスコミに、僕らは委員会の仕事があるので、と梅雨ちゃんの肩を抱いてマスコミの集団を抜ければ梅雨ちゃんに変な顔で見られた。慌てて梅雨ちゃんの肩から手を離せば、梅雨ちゃんに「ヒロくん、マスコミへの対応に慣れてるわね」だなんて言われた。父親の所為である。

 ホームルームの時間にクラス委員選抜があった。とりあえず立候補して見たら、どうしたてか二票入っていて、前の席の八百万さんと被った。男女一人ずつ、ということなので八百万さんに仕事を譲る。これは仕方がない。
 昼休み、教室でのんびりご飯を食べていたら警報音が鳴り響いた。セキュリティーは万全な筈なのだ。母さんがそこに手を抜くわけがないし、恐らくはスターク社製のセキュリティーの筈だ。現に、避難を促す音声は母さんと父親が持つプログラムA.I.の声にそっくりである。ヴィランが進入した? と、下を見ればマスコミの大群が。マイク先生と相澤先生がマスコミ対応をしているのが見える。

「避難しなくていいのか?」
「だって、見てよ、轟くん。ヴィランじゃなくてただのマスコミだ」

 隣にやってきた轟くん(最近ちょっと仲良くなれた気がする)にそういえば、轟くんは下を見て「なるほどな、確かに避難する程ではないな」と告げる。
 
「ただ、彼奴らどうやって入って来たんだ?」
「うーん、問題はそこだよね」

 そんな会話をしながら、一応避難するかと梅雨ちゃんたちに続き、二人で廊下を歩いた。
 その後のホームルーム。緑谷くんが、飯田くんの方が向いてる、といい、昼休みで大多数を落ち着かせた飯田くんの功績が認められて飯田くんが学級委員になった。八百万さんが複雑そうな顔をしている。終わりの方に、

「ヒトトセくんはアレでよかったですの?」

と尋ねてきた八百万さんに「そんな物だよ」といえば変な顔をされた。

 そんなこんなで変な1日である。
 というか、変な顔をされた1日というか。帰る準備が終わったので、カバンを持って校門に行けば難しい顔をした父親と、母さん、そして鼠みたいな可愛い人と相澤先生がいる。

「アレは誰かしら?」

 そう首を傾げた梅雨ちゃんに、「スターク社の社長と、理事長と……相澤先生と?」と言えば、「多分校長ですわ」と八百万さんが捕捉してくれた。何か話がまとまったらしく母さんが指パッチンをすると校門は元に戻っていた。そして、母さんが何か取り出したと思えば、母さんと父親は消えた。固まった二人に、僕は苦笑いする。瞬間移動が個性なのかしら? と考えた二人に違うんだなぁと思いながら、校門の方へ足を向ける。

「そういえば、さっきの男の人、ヒロくんに似てるわ」

 そう告げた梅雨ちゃんに固まったのは仕方がない。
 全くもって、変な1日だ。



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