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NEVER DESPAIR:ULTIMATE

BATTLE PRACTICE-4
 第二戦。僕の番だ。
 僕は葉隠さんと尾白くんとヴィランチームで対するヒーローチームは障子くんと轟ある。僕はヴィラン役だ、と自分に言い聞かせて息を吸う。隣を通った轟くんが僕を見ていたけど、なんだったんだろうか。
 さて。先に僕らが動くわけだが、僕は道向かいのビルにいたりする。僕は弓を使うのでコチラのほうが都合がいい。一応オールマイト先生にこっそりと聞いたが許可してくれた。最終的に目的のビルにいればOKというわけだ。
 一人になった所で、ヴィランに仲間意識はあるんだろうか、と考える。いろんなヴィランがいるんだし、1人ぐらいそんな思考がない奴もいるかな、目的が達成されればいいっていう感じのやつが、と結論をだす。なら、僕はそれで行こう。最優先はヒーローに核が奪われないこと。ついで、核を知ってしまったヒーローの排除。仲間はどうでもいいっていう考えのヴィラン。
 そこで、よしっと気合を入れる。この数分だけ、僕はヴィランだ。

 弓を組み立てて、スタートの合図を待つ。声と同時にやって来た二人に息を潜めた。コチラに気づかず例のビルに入った二人をじっと見つめた。しばらくして、障子くんがビルの外に出てくる。それと同時に凍ったビル。なるほど、轟くんはものを凍らす個性らしい。なかなかすごい個性である。障子くんを出したのは、恐らくは巻き込まないためだろう。轟くんに対峙する前に障子くんをどうにかするべきだろう。矢を静かに取り出して、弓をひく。物凄く小さな音でキリキリという音がなった。その音でさえ気づく障子くんはさすがである。しかし、遅い。

「なに!?」

 僕が放った矢は障子君の上で網となり、障子くんに被さった。捕縛用のそれは中々取れないだろう。一人目、捕縛である。まぁ、二対三である。僕らが有利なはずなのだ。再度、三本の矢を持ち、弓を構えて、今度は室内の轟くんと尾白くんの間を狙う。爆発するもの、発光するもの、そして氷を溶かすものだ。 障子くんからの通信が入ったのか、はっ、とこちらをみた轟くんに、僕はニヤリと笑い素早く三本の矢を放った。一本目の矢は窓ガラスを割り、二本目の矢は二人の間に刺さり光を発する。三本目の熱を持つギミックを持つ矢である。微妙にとけた氷に、葉隠さんたちが動けるようになったらしい。一応無線で眩しいから気をつけてといったのが良かったのか、尾白くんが轟くんに攻撃をしかけた。が、轟くんは避けてバックステップで距離をとる。そして、はっきりとこちらを見た。

 ――場所がばれた。

 とりあえず、ビルから凍ってしまっているビルへ移動するため、ワイヤーをはれる矢を放つ。再度轟くんが凍らせたのか、ビルはまた白くなっていた。ワイヤーを使いビルへ飛び移ると、氷と窓ガラスを割って中へと侵入する。四階に着けば、轟くんが再度固まってしまった尾白くんを通り越して核に向かっているところだった。弓を構えて彼の背中に向ければ、彼は立ち止まる。

「そこまでにしたらどう? ヒーロー」
「……」
「助けは呼べないよ。君のサイドキックは僕が捕まえてしまったから動けない」
「っ、」
「おっと、一歩でも動けば弓を放つけど」
「話してるうちに射ればいいだろ」
「誰も、君に向かって、とは言ってないよね?」
「なっ、」

 そのまま弓を轟くんではなく、尾白くんに向ける。尾白くんが焦った。ごめん、と心のなかでつぶやく。

「君が核から離れれば、ヴィランではあるが人の命は救われるよ。まぁ、君の命は別問題だけど。今離れるなら考慮はする」
「仲間じゃないのか!?」
「仲間? 悪役にとって、仲間意識は邪魔なだけだよね。僕は、ただ一人でも、核を守るっていう目的が達成できればいい。どうする?」
「……こうするしかねぇよな」

 パキリ、と尾白くんの前に氷で作られた壁にため息をつく。そうされちゃ手の出しようがない。それに続いて僕の周りに氷で壁が作られ始める。しかし、完璧に出来上がる前に、壁を蹴って飛び上がり、張りぼて側に移動すると弓を射た。

 捕縛用の網が轟くんにかかるのと同時である。轟くんが張りぼてに触れたのは。

「DRAW!!」

 聞こえたオールマイト先生の声に、もうちょっとだったのになぁ、とため息をつく。弓を片付けて、尾白くんと葉隠さんに、ごめんね、と謝った。二人は「ヴィラン役だからしかたがないよね」と笑ってゆるしてくれた。うん、さすがヒーロー科。みんないい人である。

「でも、ヴィランの思考って難しいなぁ……自己中心的な人が多いって聞いたんだけど」
「の、わりには、本物みたいだったけどな」
「えー、なんかやだなー」

 轟くんの網をどかし、途中で障子くんの網もどかして集合場所である地下へと向かった。轟くんはちゃんと氷を溶かしていた。なるほど、とかすことも自在なのか。いい個性だなぁ。
 音声はオールマイトしか聞こえないため、中でどういう会話をしただとかそういう話をしてから解説に移る。
 ヴィランが仲間意識を持つとは限らない、命より目的を達成しようとする奴もいる、その点、ヒトトセ少年演じるヴィランは素晴らしかった。そんな風にオールマイトは褒めてくれたけど複雑だったのは仕方がない。僕はヴィランになりたいわけじゃない。

「ヒトトセの個性ってなんなんだ?」

 そう首をかしげた――確か切島くんに、なんだと思う?と逆に尋ねてみる。

「麗日と同じようなのだとおもったけど、違うんだよな。弓使ってるし」
「うん。まぁ、僕は武器がないとヒーローとして成り立ちにくい個性だって言っとこうかな」
「えー、おしえろよ」
「ヒトトセ少年の個性は『百発百中(ターゲットブレイク)』だったかな」

 会話を聞いていたらしいオールマイトが口を開く。僕は苦笑いして頷いた。ターゲットブレイク? と首を傾げた周りに、「狙った的は絶対にはずさないって言う奴なんだ」と言う。

「僕は自分自身の個性だけで戦えるわけじゃないから。その点、やっぱり轟くんや爆豪君達の個性はいいなっておもうよ」

 どうして偽の個性をつくるときに、もっと強い個性を作らなかったんだろう、とかんがえる。
 うん、その時にはまっていた、コミックのアローやホークアイがとってもかっこよかったからだろう。今でも好きだけど。
 そんなこんな初めての戦闘訓練は幕を閉じたのだった。


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