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NEVER DESPAIR:ULTIMATE

BATTLE PRACTICE-3
 戦闘訓練は屋内で実施するらしい。ヒーローチームとヴィランチームに分かれて核兵器の取り合いを行うわけである。チームはくじで決めるらしい。
 僕のチームはIだ。尾白くんと、葉隠さんと一緒である。かるく二人に挨拶をしていれば、第一線のチームを残して場所を変えるらしい。
 第1戦は、飯田くん、爆豪くんのヴィランチームと、緑谷くん、麗日さんのヒーローチームの戦闘訓練だ。
 モニター越しにヒーローとヴィランのやりとりを見る。緑谷くんは爆豪くんの動きを読みきっている。観察眼が凄いな。僕ならどうするだろう。爆豪くんの個性は恐らく『爆発』だ。何を爆発させてるかまではわからないけども。そして、飯田くんはこの前の体力テストを見る限り、足が強化される個性である。圧倒的に戦闘向きなのは爆豪くんだ。どちらかといえば、飯田くんは情報を伝えるほうが向いている。対する緑谷くんの個性は『対価がものすごいオールマイト』みたいな感じだろう。麗日さんは――。

「麗日さんの個性ってなんだろう?」
「無重力状態を作れるってこの前言ってたよ!」
「だからこの前∞っていう記録が出てたんだね」

 僕の疑問に答えてくれた葉隠さんにそういえば、「ヒトトセくんも同じ記録出てたよね?」と首を傾げる。僕は苦笑いして、まあね、とだけいうとモニターの方に目を写した。
 結果はヒーローチームの勝利だ。ただ、ヒーローチームは動けなくなり、ヴィランチームが動けるという状況である。誰かが「勝負に負けて試合に勝った」といったが、実践ならばいただけない結果だろう。下手したらヒーローチームは殺されてしまう。もっと上手い動き方はなかったのかな、と考えを巡らす。麗日さんが飯田くんに触れてバランスを崩し、その隙に核に触れるとか。でも、麗日さんと爆豪くんを戦わせなかった緑谷くんの采配はまっとうだろう。お互いに戦闘が難しくなるはずだ。

「今戦のベストは飯田少年だけどな!!」

 オールマイト先生の言葉に、梅雨ちゃんが首を傾げた。何故勝ったヒーロー側ではないのか。オールマイト先生は答えを返さずに、生徒に答えるよう促す。手を素早く上げた八百万さんが何処がダメで何処が良いとスラスラと答えた。八百万さんは凄いな、と感心する。たしかに、そうだと納得できる。ヒーローになるためにかなり努力を惜しまないんだろう。僕も努力しないと。他には?というオールマイト先生の言葉に、僕はそっと手を上げた。

「もし、これが本当の実践なら、優しいヴィランじゃない限りヒーローチームは死んでる気がする」

 ポツリ、と僕が呟いた言葉は思ったよりも響いた。思ったことを言ってしまった。一切に向いた視線に苦笑いする。説明を求めるような視線を飯田くんから頂いたので僕は続けて口を開した。アメリカでは多々、こういったことが怒る時がある。数年に一度だけど。

「だって、ヴィランが動かなくなってもヒーローが捕まえるだけだ。でも、ヴィランにそんな慈悲深い人は中々いないんじゃないかな。僕の偏見かもだけど。今回はクラスメートだったからお互い慈悲はかけられるし、授業だから危なくなったら止が入る。でも、実践ならそうは絶対ならない。ヒーローチームは最後まで動ける力を残しとかないといけない。余力を持ちつつ、戦ってた飯田くんはヒーロー側でもいい動きをしてたと思う」

僕の言葉に、オールマイトはニッと笑った。

「うむ! ヒトトセ少年の言葉は正しい!! こちらは慈悲をかけるが相手がかけるとは限らない!!! それがヴィランとヒーローの差だ!!」
 みんな肝に銘じるように!

そう告げたオールマイトに周りは返事をした。


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