――わたしが愛した人は、連邦軍を見捨てて地球に降下したらしい。

工業コロニー・インダストリアル7にあるアナハイム工業専門学校に通うわたし達は、ロンド・ベルと袖付きの戦闘最中だったあの日、彼に保護された。

保護された後は、ネェル・アーガマと言う戦艦に友人のバナージ・リンクスを筆頭にタクヤ・イレイ、ミコット・バーチ、わたしを含めた四人で過ごす事になった。

あの日、他の友人やバンクロフト先生が亡くなった衝撃は忘れられない。
でも、薄情者かもしれないが、命の恩人であるリディ・マーセナス少尉に心を囚われてしまった。

そんな少尉も、彼女――オードリー・バーン。否、ミネバ・ラオ・ザビ、ジオンの姫君に心を囚われているらしい。

彼女がジオンの姫君だと言うのは敵との通信で発覚した。

彼が彼女と共に地球に降下したと言うのは、ミコットに教えてもらった。

そうまでして連れて行く、と言う事は誰が考えてもそういう事なのだろう。

「……リディ少尉。必ず帰って来て下さいね。」

きっと彼には届かぬ願いを、そっと宇宙へ呟いた。

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