連続



この日ライナはついていた。
幸運という意味で。
幸福は朝から起こっていた。
まず、朝に何処でも構わず剣を振り回す危ない団子娘は起こしてこないし。
初めは不審に思って微妙に大きな声であーとか言ってみたり、布団の中でもぞもぞ大げさに動いてみても誰も起こしにこないので
いつもならずっと寝ているところだが逆に怪しすぎて眠っていられない。だからお昼には町に出かけた。
そこでもライナはいいことづくめ。
いつもフェリスが言っている団子屋によるといつものお礼に。と団子を1パック貰い、
道にふくびきの抽選権が落ちていたから拾えば1等……というわけではないが3等の洋服屋の洋服3点まで無料券。なんでのを貰った
いつもは混んでる道も割とすいてたり。
ぷちラッキーというか、そんなことがたくさん起こった。
何かおかしい……。
ライナはそうは思っていたが、ここまで来るとなぜかテンションがおかしくなってきて
「俺はついてたんだ!」とか一人でいうくらいだった。

ただ、やっぱりというか、しあわせな時は長くは続かないで。

あの後ライナは宿屋に戻ってそのまま寝た。
そして朝になって……
やっぱりフェリスが起こしにこない。
「ひゃっほぅぅぅぅ!!」
ついつい大声で言ってみる。
「うるさぁぁぁぁあいぃ!!」
急に後ろから大きな剣。
「うぎゃぁぁぁぁ!? 何でフェリス。おまえが……」
「なぜお前の部屋に入るのに私が許可を得なければいけない」
「俺のプライバシーは守られないわけね。……ていうか。
何でお前、昨日起こしに来なかったんだ?」
「うむ。それを説明しにココに来た。では行くぞ。ライナ」
そう言ってフェリスはライナの腕をとってライナが昨日当てた例の洋服屋に向かって歩いていく。

「で? なんでお前も″ココに居るんだ? 仮にも王さm「しっ、誰かに聞こえたらどうする」……」
そこにはシオンも居て。
「説明しろよ。シオン」
「あぁ、実はな……、またフロワードが早く結婚しろって」
「それで?」
ここに居ることとそれは関係のない事で。
「それで、逃げてきて。で、フェリスに彼女のフリを出来る人を探してもらおうと思って会いに行ったら……。
団子をよこせ。と言ってきて」
「で?」
「で、紹介してやるからライナに幸せなことをたくさん起こせ。って」
「何で?」
「うむ、それは今から分かる」
と言ってフェリスは洋服屋の中へ……。
それにつられるようにライナたちも店内へ。
「……というか、この店なんだ? 普通の服とかあんまなくね?」
そう、この店にはメイド服やらチャイナ服やらが大量に置いてあったのだ。
「店主、これとこれとこれをこの券で頼む」

会計を終えたらしいフェリスがこちらへ戻ってきた。
そしてこちらに購入したものが入っているらしい袋をこちらに突き出して
「これを着ろ」
「……いやだ」
ライナは抵抗をしてみるがフェリスが後ろ手で剣を抜こうとしているのが見え見えでつい弱々しい返事しかできない。

結局ライナはフェリスが選んだセーラー服、猫耳、ひげというあまりにもミスマッチなものを着るはめに……
そして、着替えが終わったライナを見てフェリスが
「良く似合っているぞ、ライナ。ではシオンの所へ行くか」
とか言うから今度はわりと本気で抵抗してみるがやはり逃げ出すことは不可能で。

そして城内。
もちろんどう見ても男なうえにセーラー+猫耳。極めつけにはひげな彼女は普通いないわけで。
当たり前だが信じてもらえずその上女装癖があると白い目で見られ散々だった。
「ずっと幸福が続いていたから尚更きつい……」
と一人ライナはつぶやくのだった。

後日なぜ幸せがたくさん起こるようにしたのか聞いてみたら
「その方が後で余計落胆するからに決まっているだろう」
と言われてしまい。
見事にフェリスの罠にかかったな。と思ったらますます悲しくなったライナだった。



   

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