不死コンビの報告 part1

「よっ!久しぶりだなデイダラちゃん!」

「飛段!?」

懐かしい顔だなオイ!面白えくらい全然変わってねぇ!こんな調子で玄関口で威勢よく声を張れば、思った通りだ。奥からこの髷ちゃんのダンナが顔を出した。

「あぁ?」

「旦那!飛段だぜ!うん!」

「見りゃ分かる」

「サソリも元気そうだな!ゲハハ!」

「お前の下品な笑い方は相変わらずだな。何か用か?」

「この前、鬼鮫からお前らのラブラブっぷりを聞いてよォ。この通りからかいに来てやったぜ!」

「鬼鮫の野郎…」

「ま、まあいいじゃねぇか、うん!こんなとこで話すのもなんだし、入れよ」

「いーや、実はデイダラちゃんにだけ用があってさ…」

サソリがムッとした表情を見せる。悪ぃな、生憎サソリがいるとしにくい話があってよォ。

「サソリ、ちょっとデイダラちゃん借りてっていーか?」

「…すぐ返せよ」

「分かってるって!じゃ、行こーぜデイダラちゃん!」

「行くってどこに…お、おい飛段!」

俺はデイダラちゃんの首根っこを掴んで、近くの賑やかな公園まで引っ張っていった。痛いだの放せだの喚いてうるせーの。その辺で遊んでるガキと変わらねぇぜ。しっかし愛されてんなー。すぐ返せよってまるでサソリのモノみたいな言い方じゃねぇか。さすがに妬けるぜホント。

「この辺でいっか」

デイダラちゃんを解放して俺は適当なベンチに腰かけた。

「いきなり何なんだよ!テメェ、力だけは強いんだから加減しろよな、うん!」

「まぁそう怒んなって!デイダラちゃんと話したい事があってなー」

「はぁ?何だよ?」

「んー、実はさ…」

なんかデイダラちゃんの喋り方、サソリに似てきたな。ずっと一緒にいるとうつるんだっけ?まぁそんな事どうでもいいんだけどよ。これからすっげー重大発表するから俺の言う事、耳の穴かっぽじって聞けよ?超スーパービックリだからよ。


「小南が妊娠したってよ!」

「うん?」

デイダラちゃんは鳩が豆鉄砲喰らったような顔してた。な?ビックリだろ?

「嘘だろっ!!?なんでお前がそんな事知ってんだよ!?」

「それが本当なんだって!昨日角都とリーダーんとこに顔出しに行ったら、いきなり話があるっていうから何かと思えばオメデタだってよ!俺たちが来る直前に医者に診てもらってたらしいぜ!」

「えぇー!!!本当かよ!相手は?!」

「んなの勿論リーダーに決まってんだろォ!」

「そっか、そうだよな!うん!」

早速旦那に報告しねぇと!とか言いながら今にも走って帰ろうとするデイダラちゃんを何とか食い止めた。まだ何かあんのかよ?と怪訝な顔して訊いてくる。そりゃそんだけならわざわざデイダラちゃんだけ呼ばねぇっての!

「どう思う?」

「どうって…めでたいじゃねぇか!うん!」

「羨ましくねぇか?」

「…どういう意味だ?」

「俺たちには一生無理だろ?妊娠なんて」

デイダラちゃんの眉間のシワが更に深くなった。まだ刺激が強すぎたか?俺と同じ立場なのってデイダラちゃんしかいねぇから聞いてもらおうと思ったんだけどよ…。

「……そりゃそうだろ、うん。男なんだし」

「それが虚しくてよ」

「……」

「お前もダンナとセックスぐらいするだろ?別に恥ずかしがんなくていいぜ。好き合ってんなら当たり前だからよォ」

「…お前はよく恥ずかしげもなくそういう事を口に出来るよな、うん」

「でまぁ、普通の男女ならセックスした証として女が妊娠するだろ?小南みたいにな」

「…デリカシーのねぇ奴だな。少しは言い方考えろよ…」

「なのに俺たちには形として何も残らねぇんだぜ?どんだけ体を重ねても、どんだけ愛し合っても、それを証明するもんが一つもねぇんだよ」

「……」

「別に女になりたいとかそういう事じゃねぇんだけどよ…」

「…飛段」

「あー?」

「お前の言ってる事分からなくもねぇよ、うん。ただ、オイラは飛段みたいに長い付き合いって訳じゃねぇから…あ、いや、実際一緒にいる時間はオイラたちの方が長いけど、こういう関係になれたのって暁が解散してからだからよ、うん。…今はまだ幸せしかなくて、お前みたいに深く考えた事なかったんだ、うん」

「なるほどねぇ…」

「というか飛段は何をそんなに焦ってんだよ?お前と角都なんて何の心配もいらねぇだろ?」

あー。俺なんでこんな悩んでんだっけ。なんかすっげーモヤモヤして…。


「別にいいんじゃねぇかな。形に残さなくても」

「へ?」

足りねぇ頭で必死に考えてると先に向こうが口火を切った。

「オイラも飛段みたいに思う日が来るのかもしれねぇけど、オイラさ、愛されてるって感じる瞬間が好きなんだよ。体を重ねてる時もそうだけどさ」

目を閉じて、一言一言、噛み締めるように話すデイダラちゃんはかなり大人びて見えた。

「あの一瞬が愛しくて幸せでたまらないんだ、うん」

あぁ…。それは分かる気がするな。

「つまりイク時ってことだよなぁ?」

「なんでお前はそうオブラートに包めねぇんだよ!」

「わりぃわりぃ!ゲハハ!」

「ったく…折角人が真剣に話してやってんのに…」

「相変わらずデイダラちゃんは一瞬の美って訳か」

「まぁな」

そう言うとデイダラちゃんは満足気に笑った。情けねぇ…。3つも年下のガキに説得されちまったぜ。つーかいつの間にこんな大人っぽくなったんだ?ちょっと前までからかえばすぐ突っかかってくるような奴だったのによ…。ポカンとデイダラちゃんの顔を眺めてると、何だよ、と睨まれた。その表情がなんとなくサソリを彷彿とさせて、ああ敵わねぇなーと思った。














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ガチっぽい話になって悪かったな!ゲハハ!
俺でも悩む事くらいあるんだぜ!


2012/11/21


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