移りゆく僕ら@



「おい!トビ!今日はオイラのお気に入りの団子屋に連れてってやるぜ、うん!」


自室で傀儡のメンテナンスに勤しんでいると聞き慣れた相方の声がした。

「えっマジっすか、先輩!嬉しいっス!」

そう答えたのは新入りのトビとかいう妙なお面ヤローだ。

最近デイダラはその新入りとよくつるんでいる。暁における数少ない後輩が自分を先輩と慕ってくれるのが満更でもないのだろう。


「おい!早くしやがれ!」
「待ってくださいよー先輩〜」


…アイツが「先輩」と呼ばれる日が来るなんてな。不思議な感覚だ。
月日が流れるのは早い。初めてアイツと会ったのは確か今から10年も前で、アイツはまだ9歳のガキだった。

(いつまでも口うるせーガキだと思ってたんだがな…)

今や15歳で時を止めてしまった俺の身長を抜き、困難な単独任務も軽々とこなすようになりやがった。自分の相方が年齢を重ねるごとに頼もしくなっていくのは有り難かったが、何処か苛立ちを覚えた。特にあの新入りとつるむのは気に食わねー。アイツの得意げな顔も、おちゃらけた素性の知れない仮面ヤローも。お前の相方は誰だ、俺じゃねぇのか。

そんなことをぶつぶつと考えているうちに、いつの間にか日が暮れていた。メンテナンスもはかどらず、本でも読んで気を紛らわそうとしていると、アイツが俺の部屋にやってきた。

「よぅ、旦那。メンテははかどったか?」
「…ああ。」
「今日はトビと団子屋に行ってきたんだ、うん。」
「そうか。」
「明日はあいつと飛段と湯隠れの有名な温泉に行くんだぜ!楽しみだ、うん!」
「それはよかったな。」

楽しみで仕方ないといったデイダラの笑顔に一瞥をくれてやると俺は本に視線を落とした。デイダラが何か言いたげに俺に近づいてくる。


「あのさ、旦那…」
「サソリ、デイダラ。ちょっといいか。」

デイダラが次の言葉を紡ぐより先にリーダーが俺たちを呼んだ。

「急な話で悪いんだが…」


どうやら次の任務の話らしかった。日時は明日。本当に急だな。俺は別にかまわねぇが…

「なんでよりにもよって明日なんだよ!あの野郎…」


リーダーが任務の用件だけ告げて去った後、意気消沈したデイダラはそう喚いた。数分前の楽しげな表情とは大違いだ。コイツは感情豊かで表情がくるくると変わる。長い間見てきたが、未だ飽きがこない。
ふと、ある考えが俺の頭をよぎった。

「いいぜ、行ってこいよ。」
「えっ」

デイダラが目を丸くして俺を見つめる。

「明日の任務は俺一人で行く。だからお前は温泉へでもどこでも行ってこい。」
「なっ、そんなのいいのかよ!」
「俺がいいって言ってんだ。有り難く思えよ。」
「でもっ…」
「気にするな。」


お前の笑顔が見たいと思った俺のくだらねぇ気まぐれだ。お前とトビがつるんでるのが気に食わないと思うくせに、お前がそうやって楽しげに笑うなら行かせてやりたいと思う矛盾した俺の我が儘だ。


「…明日の準備するか。お前はもう部屋に戻れ。」
「っ…」


何だ…?せっかく俺が気遣ってやったってのに。アイツは何も言わずひどく不機嫌そうに俺の部屋を後にした。







――――――――――――

何が書きたいの私…!
続きます(^q^)


2012/09/29


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