あの日から@


※それでも忍なんですかっていうツッコミどころ満載です。














「なんならコンビ変えてもらうか」



何気なく言っただけだ。別に深い意味はない。ただ、その方があいつにとっていいと思ったからだ。


「え…今なんて?」

「だから、ツーマンセルの相方変えてもらうかって。お前飛段とがいいんだろ」

「え、ああ…そうだよな、うん」

「?まあ角都やリーダーの許可が下りればの話だがな」



深い意味はないと言ったが、正直面倒だった。長期任務の度に妙な罪悪感に駆られるからだ。実際デイダラが愚痴を溢すこともあった。次会えるのはいつになるんだろうとか、あいつが死ぬようなことがあったらどうしよう(不死身じゃねぇか)とか、俺の知ったこっちゃねぇ。若いやつは気楽でいいな。任務に自分の私情、それもくだらねぇ恋愛感情なんか持ち込むんだからよ。そろそろ付き合わされるのも我慢ならねぇし、いい機会だ。


「でも、オイラと飛段だと戦力にならねぇんじゃないか、うん」

「…それもそうだな」


そうか、誤算だった。デイダラはともかく飛段のヤローは角都がいないと何も出来なかったな。もうそれならいっその事、スリーマンセルでも組んだらどうだ。俺なら一人で十分だしな。


「ま、今度話持ちかけてみるか」

「旦那、本気で言ってんのかよ」

「ああ。むしろ今まで気が利かなくて悪かったな」



それっきりデイダラは一言も口を利かなかった。まったく、理解できねぇ奴だ。さっさとアジトに戻って傀儡のメンテナンスに打ち込みたい。










―そういや、最近こんなことがあった。



ひどい雨の日で、あまりの湿気の多さに苛立っていると飛段が俺の部屋を訪ねてきた。


「デイダラちゃん知らねぇ?」

「は?知らねぇよ」

「おっかしいなー…」

「デイダラがどこにいるかなんてお前のほうがよく知ってんだろ。ほら邪魔だ、さっさと出てけ」


元々機嫌の悪かった俺は、休みの日にまでこの人騒がせなカップルに煩わされるのに腹が立ち、飛段を強制的に追い出した。



(こんな雨の日に外に出てるのか?)


アジト内にいないのだとしたら外出しているのだろうが、大方いきなり土砂降りの雨に降られて、どこかで雨宿りでもしているんだろう。宗教馬鹿はえらく心配そうにしてたが、そのうち帰ってくるはずだ。大体、いい年した男がこれまたもうすぐ成人を迎える男の心配なんてしてんじゃねぇよ。


(疲れた…)


何でこんなに疲れているんだろうか。そんなもの感じないはずなのに。気分も悪いし、一眠りするか。




「なあー角都ぅ、デイダラちゃん捜しに行こうぜえ」

「何を言っている馬鹿者。俺にそんな暇はない」



角都も大変だな、あんな戯言に付き合わされて。…にしても本当に何やってんだ?あいつ。




雨はひどくなる一方だった。雷も鳴っている。――雷。そういやかなり苦手にしてたな。まさかとは思うが…。



(その辺見てくるか)


どうせ俺も暇だ。飛段がうるさくて眠れねえし、心当たりを探ってみるか。







(うざってえ雨だな)



一通りあいつが行きそうなところを当たってみたが、見当たらない。どこ行っちまったんだか。苛立ちを募らせながら歩を進めていると、眼前に切り立った崖が現れた。

…そういえば、前にこの辺で雨宿りをしたことがある。あの日もこんなひどい雨の日で、あいつはあのでかい崖から足を踏み外して怪我をした。俺が咄嗟にチャクラ糸を出して落下の衝撃を和らげていなけりゃ死んでたな。結局擦り傷と捻挫で済んだが、雨で視界も悪く、崖下にあった小さな洞穴で休んでいくことにしたのだった。


(まさか此処にいるわけねえよな…)

少しの期待を込め、洞穴に近づく。




―いた。あんなとこで馬鹿みてえに雨宿りしてやがる。


また落ちたのか、かなり怪我をしているようだった。所々血が出ている。…よく死ななかったな。






「早く止まねえかな…うん」

「のんきなもんだな」

「!?」


まさか人が来るとは思わなかったのか、ものすごく驚いた顔でこちらを凝視された。


「だ、旦那!?何でここに!?」

「お前がいつまで経っても帰ってこねえって、飛段がうるせえから捜しに来てやったんだよ」

「よ、よくここが分かったな、うん」

「ったく…同じとこで二度もドジ踏みやがって。お前それでも忍かよ」

「わ、わりい…って旦那、覚えてたのか」

「は?」

「ここで一緒に雨宿りしたこと」

「覚えてたから見つけられたんだろ」



本当に世話の焼ける奴だ。出血している箇所を持っていた包帯で素早く止血し、捻った足首を手当てする。また派手に転んだもんだな。


「応急処置だ」

「いつも悪いな、うん」

「一人で歩けそうか」

「んー無理かも…うん」



助けに来たのが飛段なら、お前を担いで帰れたかもしれないな。



喉まで出かかったその言葉を瞬時に呑み込む。なんだか女々しい気がした。



「びしょ濡れだな、旦那」

「誰のせいだと思ってる」

「ハハ…情けねえなオイラ、うん。……ありがとう」



ああ。そういえばまだ礼を言われてなかったな。



「雨が止んだら、」

「うん?」

「肩貸してやるから」

「…いいのかよ」

「ああ。時間はかかるけどな」

「せっかちなアンタが珍しいな、うん」

「仕方ねえだろ」


せっかくの休みの日を無駄にすることになるが仕方ねえ。無事こいつも見つかったことだし、悪い気はしなかった。




「…雨、早く止むといいな」

「…そうでもねえよ、うん」



























――――――――――――

なんかもうすみません。まだ続くみたいです。
というか本当にひったんごめんなさい。
限りなく私の趣味を押しこんでます。


2012/10/16



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