:: 目



ある月曜日の朝。
「ねぇ。若の目ってさ、それって、眠いから?」
ロッカーに1時間目の教科書を取りに来た日吉はロッカーの側の席に座る聖花に止められた。
「?」
返事を返すより日吉はまた変な事言ってる…と半分あきれていた。
「若ってさ、目細いじゃん。視界狭くないのかなぁって」
「そんなわけないだろ…」
「やっぱ?てかちょっと考えてみたんだけどさ」
「何?」
「立海の柳って人は世界見えてるの?」
「俺に聞くな…」
でも確かに気になる。
あの視界はどうなっているのか。
「私は見えないと思うんだよね。青学の乾って人も然り」
「なんでいきなり青学がでるんだよ」
「だってあの人の眼鏡すけてないじゃない。中身のみえないゴミ袋といっしょじゃん。せめて半透明ゴミ袋にしようよって思わない?」
「思わない。てかゴミ袋にこだわるな」
「いいじゃん、大事だよ」
「まぁ…確かに…」
ゴミ袋は大事だ。
「というわけだからさ、もっと目開こうよ」
無理やり話を戻された。
「というわけでつながるか今の」
「頑張ってみようよ。キミの頑張り見せておくれよ」
「シカトか?」
「うん」
「………。」
日吉は溜め息をつくと窓の外を見つめた。
きっとこんな女にひっかかった自分を悔いているのだろう。
そんな事をしていたら先生が横に立っていた。
「そこの二人。もう1時間目始まってるぞ」
周りを見ると自分達しか立っていない。
「え、嘘。教科書借りに行かなきゃ」
そう言うと聖花は「樺地ー」と叫びながら走って教室を飛び出して行った。
そんな月曜日の朝。

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