×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -




いたずらこねこ



 眠ってはいなかったが、目を開けていなかった。意味はない。敢えて理由を挙げるなら目を開けることより、隣でごそごそと動く名前の方が面白いと思ったからだ。身体を起こしたらしい。薄ら寒い空気が俺の肌を撫ぜる。「木場さん」、呼ばれた。事後は泥のように眠りにつく癖に、寝覚めが偉くいい。狡いと思う。「木場さん……、修さん?」、また呼ばれた。その声には初めよりも困っている色が含まれていて楽しい。
 そして沈黙。
 しょうがない。起きてやるか。
 そうして目を開こうとした瞬間、唇に柔らかい何かが押し当てられた。この感触は知っている。名前の唇、だ。
 すぐに離れようとしたそれを逃がさないよう、名前の後頭部を手で押さえつける。唇の間から声が洩れた。その隙に舌をねじ込んでやる。思うままに蹂躙すると、彼女はぐったりと力を抜いて俺に倒れ込んだ。だから逆に押し倒す。覆い被さってから唇を離した。
「は、あ……ッ、」
「脚、邪魔」
 剥き出しの細い脚を左右に割り、身体を密着させる。
「きば、さん、っ」
「あァ? 誘ったのはそっちだろ?」
「ちが、う……、ひ、ぁ」
 耳朶を食んで黙らせた。黙ったはいいが、びくびくと動く小さい身体が厭らしい。くちゅ、と水音を立てながら舌を耳孔に差し入れた。逃げられないように顎を捕らえておく。緩慢な動きで皮膚を舌で舐る。
「、っう……ぅ、ッ」
「おい、逃げんな」
 熱を帯びる俺のそこを感じ、泣き声を上げる。やばい。盛ってるな、俺。
 髪をかき分け、耳の後ろに舌を這わす。わざと大きく音を立てて舐めた。
 腰に名前の両脚が纏わりつき、少しだけ腰を動かして誘ってくる。たぶん無意識なのだろう。はあはあと乱れる呼吸の淫らな響きと、ぎゅうと力の込められた両脚。
「行儀悪ぃぜ、」
 最後に耳朶を甘噛みする。
「挿れてやるから力抜け」
「ん……」
 素直に頷くのが可愛い。額に口づけをくれてから名前のなかに自身を進める。
 木場さん、とか弱い声で呼ばれた。俺が本気を出したらこいつは死ぬと思う。
「お前が誘ったんだ。責任とれよ」
「さそって、なんか……っあ、ァ!」
「じゃあさっきのは何だ?」
 抉るように突けばの身体が跳ねた。善がる処を探りながら突く。
「だっ、て……ぇ、きばさんが、かわいかった、から……、ひぁっ!」
 潤んだ瞳で反論するを見ていると、手加減ができなくなりそうだ。否、できません。
 首に腕が回され、口づけをねだられた。
 死ぬかもな、こいつ。

- - - - - -