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あやかし



「は、っあ、なが、そね」
「あるじ、主、」
 口付けの合間に必死なくらいお互いを呼びながらふたりは貪り合う。舌が絡まって、唾液が首に落ちて、食べ尽くすように口付ける。逞しい体がわたしを強く抱きしめて、無骨な手は下着のなかでいやらしく動いていた。くちくちと音を立てながら長い指先がなかを出入りする。なかを擦る動き、卑猥な水音、口付けの激しさ。初めてでもないのに、長曽袮相手だとどうしてこんなに興奮してしまうんだろう。
 身体に当たる熱いものを服の上からさすると、長曽袮は大きく息を吐いた。「っは、」低い、笑い声のようなそれはわたしをぞくぞくさせる。
「口でしてくれるか」
 低い声はそのまま、主君であるわたしに命令を下す。そんな倒錯したいまだけの上下関係も、わたしたちを興奮させるのだ。
 わたしは頷いて彼の足元に跪く。ゆっくりと熱いそれを取り出すと雄のにおいが鼻いっぱいに広がった。
 挨拶をするように、まずは先端に唇をつける。ふ、と長曽袮はまた息を漏らした。下から上にねっとりと舌を這わせて、時折吸い付く。先端まで辿り着いたら唾液を溜めて大きすぎるそれを全て頬張る。何度も繰り返してきた遊び。わざと音を立てると長曽袮のものは口のなかで更に大きくなった。それからゆっくり抽送をする。彼はわたしの髪をゆっくり掴んだ。これから始まる遊びは苦しいからあまり好きではない、長曽袮だから受け入れるけれど。
 彼の手によってわたしの頭は半ば無理やり激しい抽送を余儀なくされる。じゅぷじゅぷと音を立て、先走りと綯交ぜになった唾液が口の端から溢れた。喉の奥まで侵入する性器に、お腹の奥が少し苦しくなる。けほ、と合間に咳き込むが、長曽袮はそれでも気にせず腰と手を動かし続けるのだった。
「あっ、あ、主、きもちい、ぞ」
 それでも喜ぶ声を聞くと臍の下がじんとする。さっきまで指でいじめられていた下腹部がまた潤んで止まらない。
 何分か口腔で奉仕していると、長曽袮はふと手を止めて自分の性器を口いっぱいに頬張るわたしの顔をじっと見た。
「もういい、」
 そう言って口からそれを引き抜く。我慢できなくなっていたのはわたしも同じだった。
 わたしは畳の上ではしたなく足を広げる。「ね、来て」明け透けに誘えば長曽袮は端正な口元を歪めて笑った。
「我儘な主だな」
 覆い被さる身体にまた興奮する。わたしたちの体格差は明らかに大きすぎていて、まるで子供と大人のよう。だから抵抗なんてできない、しても意味がない、しないけれど。
「あ……っ!」
 熱くて太い性器を勢いよく挿入されてわたしは歓喜の声を上げた。
「いっ、い、きもち、すご、ながそね、」
 まるで白痴のように善がって、彼にしがみつく。
「きもちい、あっ、あ、」
 片脚を掴まれ、持ち上げられる。足先が彼の胸に預けられた。そして突き刺すような腰の動きが激しさを増して、わたしは殆ど悲鳴に近い声を上げる。交わる部分からはぐちゃぐちゃと水音、それから皮膚のぶつかる音、まるで耳の中まで侵されているようだった。
「っ、どこがいいんだ?」
 もう片方の脚は長曽袮の逞しい脚に敷かれていて逃げ場がない。わたしは「おく、おくがいい」とやっぱり白痴のように叫ぶのだ。
「っあ、あ、あ、きもちいい、も、だめ」
 ぐりぐりと擦り付けるような動きにわたしは早くも絶頂を迎える。目がちかちかして力が入らなくなって、それから下腹部が一層敏感になる。
 わたしの達した声を聞いた長曽袮はまた口の端を歪めた。ああ、虐められるのだ、これから。
 案の定彼は腰を止めることなく寧ろ激しく身体を動かし始める。もう気持ちいいなどとぬるいことは言っていられない。わたしは彼の名前と、それから言葉にならない悲鳴を叫び続ける。
「なが、そね、っ、あ、あっ」
 長い前髪から覗く目に射抜かれたらもう堪らない。わたしは彼の前でだけ、本当の意味で丸裸になれるのだった。こんな淫らなわたしに。
 
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